第10話 俺の後悔
俺は模範囚として過ごし、7年で仮釈放となった。シャバの空気はうまい。
早速、香織と須藤のその後を見届けに行った。
2人は、小さなアパートの1階で過ごしているらしい。
盲目になった2人は、白い杖を突きながら、出てきた。買い物にでも行くらしい。
成人してから、見えなくなったので、腰が引けて足元がおぼつかない。その姿に、
腹を抱えて笑いたくなった。
2人の後とついていく。
すぐ近くの小さいスーパーに2人は寄っていた。店員にほしい物を言って、買い物をしている。自分で品物を選ぶことができないのだろう。
2人をじっと見ていると、
「あ、あの不倫夫婦また来ているわ。」
と面白そうに言う、おばさんの声が耳に入った。2人も聞こえているだろう。
胸のすく思いだった。耳にはさんだ子どもたちは、父親を捨てて不倫母と間男に自らついていった姉弟と言われ、香織の実家の祖父母に育てられているらしい。
もちろん、二度と会うことはない。
さて、俺も新しい人生を生きるとするか。でも、俺はここまでする必要があったのか。犯罪者となってしまった自分の人生に、少しの後悔がある。
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