第8話 沸騰

 探偵に調べておいた須藤と香織のアパートの前に立った。

 日曜日だ。汐里と誠が部活に出かけた。2人だけだ。

ピンポーン。インターホンを押す。

「はい。どちら様。」

「俺だ。」

「え?ど、どうしてここが分かったの。」

「調べれて分ったんだ。子どもたちの面会のことでお願いがあるんだ。少しだけ時間をくれないか。入れてくれないか。」

できるだけ猫なで声を出して、警戒をされないようにする。

「子どもたちはいないわ。」

「いいんだ。ちょっと話を聞いてほしいんだ。」

「分かった。」

ガチャ!ドアが開いた。 俺は心の中で舌を出した。

「どうぞ。」

リビングに通された。

「あ、どうも。」

須藤が間抜けなあいさつをする。

「話ってどんなこと。」

「子どもたちはどんなふうにしてますか。」

「うん。もう、2人は須藤さんをお父さんと呼んでもうすっかり家族になったの。

 私たち2人で一緒になって幸せよ。ねえ。」

「うん。」

須藤もまんざらでもない顔でにやつく。俺の腹が決まった。

「あなたも、いい人見つけて幸せになってね。」

どの口が言ってんだ。

「分かった。」

俺は、立ち上がった。2人とも帰ると思ったのか立ち上がった。

俺は、ジャケットの内側に隠し持っていた、鋼鉄製の特殊警棒を取り出した。


まず、須藤の脛を狙って強打した。

「うぉ~。」

叫ぶ須藤、続けざまに顔面を口を狙って殴打する。須藤はぶっ倒れた。

続けて、香織の脛を強打する。

「ギャー。」

叫ぶ香織。

「うるせ~。」

顔面を同じように強打する。

もう声は出せないだろう。

ロープを出してしばりつける。もう抵抗さえしてこない。

「あのな。お前たち2人で幸せなんだってなあ。よく俺にそんなこと言えたなぁあ。」

「ごめんなひゃい。」

歯が折れて血まみれの口で香織が言う。

「うるせ~今頃何言ってんだ。」

「おら!なんか言ってみろ。」

須藤の腹を思い切りぶったたく。

「うぐ・・・。す、すみまひぇん。」

「お前ずっと、にやけてただろ。このやろう。お前一言でも俺にあやまったか。」

「す、すいまひぇん。」

「もう。おせえよ。」

ともう一発。おっと気を失われちゃ困る。最後通告だ。


「お前たちに俺は人生を奪われた。あんなはした金の慰謝料じゃ気が済まねえ。

 だから、お前たちに罰を与える。俺は、刑務所に行く覚悟だ。」

2人は、ブルブル震えている。その顔が見たかったんだよ。

「いいか。2人幸せなんだろ。ずっと支え合って生きろよ。お!お互いの顔を見ておいた方がいいぞ。」

ポケットからアイスピックを取り出した。


俺は、2人の目を潰した。

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