第3話 判明

 帰宅した日、香織の様子を観察した。よく見ると俺とあまり目を合わせない。

返事や会話も最低限になっている。子どもたちは、香織とは、普通に会話しているが、同じ場所にいる俺に対して、いないように無視をしていた。

 なんだこれは。俺が幸せを感じていた家族がどこにもない。


 定時に帰宅した香織に声を掛けた。

「話がある。」

「なに?」

「これを見てくれ。」

興信所の資料を広げた。

「浮気してるだろ。」

「なんだ。わかっちゃったんだ。」

香織は、顔色一つ変えないで、平然と答えた。

「この須藤という男を呼べ。」

香織は、スマホを出すと電話を掛けた。

「旦那にバレちゃった。すぐ家に来てくれる。?」

「家の場所は分かるのか。」

「分るよ。」

香織は、にやっとした。ということは、この家に来たことがあるのか。

すぐに須藤はやってきた。

「ごめんね。座って。」

香織が須藤に椅子をすすめる。


「君たちは、不倫をしているね。どういうつもりだ。」

香織は、ごく自然に

「どういうつもりも、そういうことよ。付き合ってるの。」

「なに。君も既婚者と付き合うのはおかしいと思わないのか。」

「香織ちゃんを好きになっちゃいました。告ったら、オッケーもらって

 付き合ってます。」

須藤は、にやにやしながら言った。

唖然としている俺に、香織は続けて。

「あなたとは、離婚するわ。彼が好きなの。再婚するつもり。」

「そうなんですよ。すみません。」

2人は、下卑た笑いを浮かべた。


「じゃあ。私、今日から彼のところへ行くわ。離婚に向けて話し合いましょ。」

「ちょっと待て。」

「もう無理だから。」

 香織は、そういうと、寝室へ行きスーツケースに衣類を詰め込んで、須藤と一緒に

家を出て言った。

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