夕約
東井タカヒロ
あの日の憂暮れ
何かをするには、何かを選ばないといけない。
そんなこと分かっていた。
後悔も、屈辱も、全て飲み込んで、した。
でも、儚く簡単に散った。
「馬鹿だな、俺」
「何感傷にしたってんの?」
「そりゃあ!そうだろ!」
「1回告白に失敗したぐらいで」
あぁ……。
たかが1回、1回の告白だよ!
こんなに夕暮れって輝いて見えたっけ。
「ほれ、ジュース奢るから許せ」
「……エナドリが良い」
「一番高いのちゃっかり選びやがって」
氷のように冷たく冷えされたエナドリをつかむ。
「また、チャンスはあるさ、な」
俺はエナドリを胸焼けするほど一気飲みした。
「はぁああ」
「お、おい、大丈夫か?」
そうだ、何1回振られたからって落ち込んでるんだ。
また何回でも告白すればいいじゃないか!
「俺は!茅が好きだぁああああ」
「――っびっくりした」
「そうだな、また何回でも告ればいいな」
よし、この夕焼けのように、俺は、輝いて、輝いて。
告白する。
1回程度で諦めてたまるか。
絶対、付き合ってやる。
「ま、告白するのもほどほどにしておきなよ?」
夕約 東井タカヒロ @touitakahiro
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