帰還

 木々の間では眠れなかった


 君は愚痴々々いいながら山を下りて


 その先 雲の重なりと海の轟きが太陽の光にやわく照らされる場所


 呼吸のゆき先を君はよく知っていたから


 くつを洗いに さかなになるまえに。


 岩の影 その上空


 月とほしぼし


 静かに見つめてくる


 名前と体を確かに知っている景色ではなかった


 私の場所を定義などできない


 どうすることもできない海の躍動や


 同じように光る天体の言葉と同様に

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