未だ迷子

 春先の夢のことなど忘れていた

 ただの夢ではないような、おばさまとの会話と

 当時の私の解釈と


 あれはNeinの続く問いではなかったかしら


 なぜあんな夢を見たの

 知らない人物に声をかけて みられることに怯えて

 境の失われた、故郷と私の居場所


 Heimwehではなかったかしら


 当時の私には想像もつかなかったけれど

 見知らぬFamilie Geschwisterへと投げかけ続けた依頼

 素っ気ないMutter


 怯えていたのではないかしら


 遠くが嫌だからハイツは繋がれたのであって

 一人が嫌だから家族は呼ばれてたのであって

 けれどここで生きていかなければならないからと、この歳にもなってそんな我儘などと、退けていたのが私だったのではないの?


(“互いに忘れてしまってはいけないのですか?”)

 彼女が教えてくれたこの言葉は、

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