第2話 転校生の小田くん
教室に着き、ホームルームまでの間、あたしはボーッと外を見てた。雲一つない青空……綺麗だなあ。
鳥も気持ちよさそうに飛んでるよ。あたしも空飛んでみたいなあ。空飛べたら普通じゃないでしょ?
なんて考えてたら、クラスメイト達がざわついてる事に気づく。
あれかな? 例の転校生の事かな?
そういえば時期的に少し珍しいよね。今六月だもん。
「噂だと男子らしいよ~それもイケメン!」
「マジ!? やったあ」
女子グループが騒いでる。
本当にイケメンなんだ! 少し楽しみかも。
「へっどいつもこいつも!」
ダイキチが机に乗って、女子グループに呆れるように言った。
「本当にイケメンなのか? おれのがよっぽどカッコいいんじゃねえの?」
「「そんなわけあるか!」」
おお、いいハモリ。でも、あたしも同意見。ぷぷ。
その後ダイキチは他の男子達と共に、女子グループと言い合いになってる。
よく揉めてるんだよねえ。ダイキチは男子のリーダーというか、中心人物だし、女子のグループとよくこうして喧嘩してる。そうそう、そっちと言い争いしてなよ。あたしをからかうな。
え? 女子のグループって、お前も女子だろって?
いやあ……クラスの中心の子達とはあまりしゃべったことなくて……
友だちはいるけど、クラス分かれたりしたし……
同じクラスで友だちと言ったら……
「相変わらず騒がしーね」
あたしの席に近寄って話しかけてきた、桃色の髪をしたかわいらしい女の子。名前は
眠たそうにいつも薄目でパチパチとよくまばたきしてる。
でもさっき言ったとおり、かなりの美少女なんだよね……男子達にひそかに人気あるし。
普通なら女子グループの中心にいそうな子なんだけど、なぜかあたしと仲良くしてくれてる変わり者なんだよね。
まあ性格的に人を引っ張るタイプでもないんだけどこの子。
「エミコ、彼氏の助太刀しないの~?」
「ルリ! 彼氏じゃないって言ってるじゃん!」
「今日も一緒に登校してきたじゃん」
「うぐっ……」
こういう誤解もあるからダイキチと一緒に登校したくないんだよね……
「そ、そんなことよりさ! 転校生イケメンらしいよ!」
あたしは無理やり話題を変える。
「ルリのお眼鏡にかなうイケメンかなあ?」
「どうだろね~」
ルリカはかなりの面食い、イケメン好きなんだ。だけど半端なイケメンには反応しないという、なかなか厳しい目を持ってるんだよね。
なんでも隣に住んでるお兄さん、そしてルリカのお兄さんの二人がとんでもないイケメンだからみたいなんだよね。
アイドル顔負けの絶世の美男子らしく、その辺のカッコいいくらいの男子には目もくれないらしいんだよ。
かわいいからモテるんだけど、理想が高すぎて同級生とかに興味ない、困った子なんだよね。
「はーい、みんな静かにね~」
あ、先生が教室に入ってきた。
担任の
ルリカは席に戻り、クラスのみんなも次々と着席する。それを先生は確認。
「今日は新しいお友達がこのクラスにやって来ました~! どうぞ!」
先生の発言の後、ゆっくりと教室に入ってきた……男の子。
この子が転校生……
「カッコいい……」
「イケメン!」
「やったあ!」
女の子達の歓喜の声がひそひそと聞こえる。
……確かに、すごいイケメンだ……
アイドルか何かなんじゃないの? 芸能人? あまりに一般人とは思えない、そんなオーラを感じるよ……
メガネかけてて背丈とかは普通だけど、この学校の男の子達とは比べ物にならない綺麗な顔してた。
後でルリカから見てもそうか聞いてみよ。
「はい、自己紹介してね。黒板にお名前書いて」
先生に言われると頷き、転校生くんは黒板に名前を書く。
あ、あれ? 下の名前は小さくて見えないよ?
「小田です……よろしく」
小田くんは頭を下げ、あたしやクラスのみんなは拍手する。
すると先生は困った顔をする。
「あ、あの小田くん。名前見えないよ?」
小田という字は大きく書いてるのに、下の名前だけは本当に細かく書いてるもんね。先生からも見えないくらい小さく書いてちゃ、そりゃ注意されるよね。
「やっぱダメですか?」
「う~ん気持ちはわかるけどね」
気持ちはわかる? どういう事?
小田くんはため息ついて、大きく名前を書く。
……え?
あたしを含め、みんな口をポカンとあける。
すると小田くんは嫌そうに、もう一度自己紹介する。
「小田……
おだのぶなが……?
え?
「あっちは織田ね。ぼくは小田だから」
わざわざチョークで織田と小田を書いて説明してきた。
あ、そっか。本人ではないよね。
……いや、わかってたって本人じゃないって。本当だよ!
「それと……ぼくは妖精を探してる。何か知ってる人いたら教えてほしい」
……妖精?
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