道具
目的のために
道具は働く
道具は目的ではなく
手段だ
その意味で
わたしたち人間とは
違うのだ
わたしたちは
目的のために
道具を使う
道具は代替可能である
道具は役に立つ
道具は息をしない
だからこそ
わたしたちは
躊躇なく役立つと言えるし
躊躇なく罵れるし
躊躇なく振り下ろせるし
躊躇なく壊すことができる
人間は道具ではない
子どもも
愛する人も等しく
道具ではないのである
はかなくも
かけがえのない
ひとつの生命
ひとつの愛のかたち
なのである
当然のことと思うだろうか
しかし
人間すら
道具ととらえてしまう
世の中には
そのような人間が
あなたのいうとおり
たしかにいる
きっと
そのような人々は
孤独である
孤独ゆえ
もので埋める
ものに囲まれると
自分の輪郭がわかる
ジグソーパズル
周りのピースが埋まれば
まだ埋まっていないピースの形が
わかるように
まわりにものを
置いておきたい
人間は
道具を便利と思う
そして同時に執着する
それは一つの「愛」の形
しかし
あくまで自らの目的
あるいは執着のために
他者をみるならば
それは
愛の否定である
かけがえのない存在を
求める
あなたの否定でもある
わたしの否定でもある
そして
自分自身の否定でもある
物言わぬものだけでなく
物言うものも
自分自身を形作ることを
否定してしまえば
それは楽だろう
それは
人間であることの
否定である
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