俺の後悔

金食い虫

俺の後悔

 中2の夏休み明け、あきらは学校に来なくなった。記憶では特にいじめとかはなかったと思う。だけど、明は来なくなってしまった。


 明は所謂オタクと言うやつで、俺は陽キャと言うやつらしい。俺からしたら大した違いはないように感じるが明が言うには全くもって違うらしい。それでも、俺は明と仲良くできていた。その背景には幼なじみという関係性があったと思う。


 小学生の頃はキャッチボールに鬼ごっこ、かくれんぼにバドミントン、勉強にゲームに...と挙げればキリがないがとにかく何をするにも一緒にしていた。だが、中学校に上がってから少しすると遊んでくれなくなってしまったし、夏休みが終わる頃には顔も合わせなくなってしまった。


 その頃になると俺には新しい友達ができていて、楽しい日々を過ごせていたと思う。でも、ふとした瞬間に寂しさを感じるようにもなっていたと思う。


 それでも、明の意思を尊重し、なるべく接触は控えるようにしていた。明にだって交友関係はあるに決まっているし、いつまでも幼馴染おれと一緒というわけにもいかないだろう。


 そんなこんなで月日は流れ、冬休み、久々に明を遊びに誘ってみることにした。別に嫌われている訳では無いことは分かっていたため、長期休みならどこかで遊べるだろうと思ったためだ。


 明は二つ返事で了承してくれた。久々の会話はすごく楽しくて心地がよかった。


 当日、明と俺は待ち合わせすることにしていた。場所はショッピングモール。それぞれ買いたいものを買って、見ようと決めていた映画を見た。それはたしかSF超大作と名高い作品の6作目だったと思う。唯一の共通の趣味だ。それを見終わったあと、帰路につき、途中二人で今回の映画の感想や考察を熱弁し合った。


 この出来事の後、実際に話すことはなかったものの、ちょくちょくメッセージを交わすようになった。


 少し時が飛んで2年生の夏休み最終日。特に仲良くしていた女友達が俺に告白してくれて、俺はそれを受け入れた。初彼女である。嬉しくて小躍りしそうになりながら帰り、明にも祝福してほしくて、彼女ができたと報告のメッセージを送った。既読はついたものの、その日のうちに返事が返ってくることはなかった。


 翌日、おめでとうの一言が送られてきており、それ以降、明は全く返事をしなくなってしまった。


 心配して明の家に行ったりしたが、明が俺の前に姿を現してくれることはなかった。


 またまた月日が流れ、高校受験の合格のお祝いに彼女とデートをしていた時だった。俺の携帯に信じたくないメッセージが送られてきていた。明が亡くなったという。


 死因は首吊り自殺だったらしい。警察が調査をした結果、高校受験の失敗から来るショックによる衝動的な自殺と断定されたと明の母親から聞いた。


 だが、高校受験の失敗それが自殺の原因だなんて信じられなかった。そもそも明は学年で1,2を争う程に頭が良く、偏差値が63の高校もA判定だった記憶があるし、滑り止めで偏差値57の高校を受けていた(明の母親から聞いた)はずだ。そんな明が受験に失敗するなんて余程のことがない限りはあり得ないだろう。


 俺は考えても仕方のないことなのに明が自殺した理由を考え続けた。明が亡くなっている以上明確な答えにたどり着くことなど不可能なのだが考えずにはいられなかった。


 またまた時は流れ、現在、大学2年生。今まさに彼女に振られたところであった。理由は共同生活の中で云々と言っていたがまあそれは置いておこう。俺は明が死んだ理由に思い当たってしまった。


 もしや明は俺を好いていたのではなかろうか。確かに、好きと言われることは多かった。友愛としての意味にしか捉えていなかったその言葉が思い出の中で熱を帯びていく。そして、それと同時に初彼女報告の時に既読スルーをされたことやそれ以降の連絡への未読スルーの行動理由がはっきりと分かった。今の俺と同じだ。失恋だったんだ。そして失意のさなか、高校受験に失敗し、人生から逃げることにしたんだ。


 自殺の理由が俺の中で腑に落ちた。もちろん確かめようはない。だから勝手な妄想ではあるのだが、しっくりと来てしまった。


 これは俺が鈍感だったせいで引き起こった自殺だった。もし、それが本当だったとして俺はどうするのが正解だったのだろうか??


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あとがき

主人公はこう考えましたがこれが正解ではありませんし、なんなら多少自惚れが入ってます


※参考にした作品はありませんが、内容が内容ですので似か寄ることもあるかもしれません。その場合はまあそういうこともあるか、と流していただけたら幸いです。

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