親友と、好きな人
おおにし しの
本編
授業が終わり、変える支度をしているとき、親友が唐突にあるカミングアウトをした。
「僕、Mと付き合ってるんだ」
その言葉を聞いた瞬間、数多の感情が頭の中を埋め尽くした。
親友に対する嫉妬、怒り、困惑。
「3ヶ月くらい前から」
なぜそれを今言うんだ。
お前は知ってるはずだろ、俺がMを好きだって。
なぜ付き合ったときに言わなかった。
泣きそうになるのを必死に堪えながら、俺はひとりで帰った。
帰ってから、泣いた。
声も出さずに、ただただ、涙を流していた。
生まれて初めて、心の底から泣いた。
◆
「僕、Mと別れたんだ」
その言葉を聞いた瞬間、数多の感情が頭の中を埋め尽くした。
七割八分の喜び、二割一分の同情と、その他の感情。
「今ならチャンスかもね」
それをお前が言うか。
二割ほどあった同情も消え失せそうだった。
「正直引きずってる」
親友が別れて、引きずってるのに、俺はそれを喜んでいる。
わかってはいたけど、本当に俺は、どうしようもなく、最低な人間なんだな。
親友の不幸体験で、喜べるような人間だったんだな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます