昨日の夜空が明けないまで
東井タカヒロ
昨日の夜空が明けないまで
星空が空一面に輝く夢だった。
希望にあふれ、僕らが、その空を見上げていた。
「朝――か」
目覚ましの音で、夢の世界から、現実へと戻させる。
いっそのこと、夢の方が楽で、気持ちがいい世界だったのに。
「……っんっ」
ため息を少し抑えてように息をする。
辛い。といえば、簡単すぎるような。
かといって、苦しいほどじゃない。
非常に曖昧な月曜日だ。
毎週のようにやってくる月曜日。
あぁ、という気持ちがどんどん膨らんで、制御できなっていく。
玄関を超えたら、そこは月曜日の空間だ。
家を出る前のここだけ、この朝の瞬間まではまだ日曜日だ。
そんな気分になる。
昨日の夜空が明けないまで、ここに居たい。
行かなきゃいけないとわかってはいるし、それでも行きたくない。
窓から見える電車には寿司詰めのように押し込まれた人でいっぱいだ。
「はぁ……行ってきます」
僕の月曜日が始まり、日曜日が終わってしまう。
最悪な1日の始まりと同時に、また日曜日までのカウントダウンが始まる。
玄関を開け、毎日目がぐるしく回る天候を眺め、週の始まりの1歩を踏む。
何回目かも分からない1歩目は案外、怖くない。
ただ、面倒くさい。
昨日の夜空が明けないまで 東井タカヒロ @touitakahiro
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