【迷妄】怪談好きクール系女友達と過ごす一夜

一畳一間

トラック1「夜分遅くにお邪魔します」

//SE チャイムの音

//SE ドタドタと響く足音

//SE 開錠する音


「ん、遠路はるばるゴクローさん。夜分遅く呼びつけて悪いね」


「ま、テキトーに掛けちゃってよ。つってもソファかビーズのしかねーけど」


//SE ソファに腰掛けて軋む音。

//SE 冷蔵庫を開ける音


「暑い? いやいや文句言うなし。クーラーなんて贅沢品ないから。つか、ウチはこれで寝てんだぞ?」


//SE 冷蔵庫を閉じる音

//SE グラスに茶が注がれ、氷の鳴る音


「ほい、麦茶。……『これ好きだな』って? しゃーないじゃん。これ年々増量するバケモンなんだから。夏のお供だよ?」


//SE 喉を鳴らし麦茶を飲む


「──ぷはー。ほらね? 蘇ったっしょ?」


(やや不機嫌な雰囲気で)

「え、何? まだ暑いとかのたまいやがります? なんだこのやろー。ウチのクールさで凍てつかせてやろうか?」


「はー……。しゃあねぇ。現代っ子の為にちょっくらひっぱり出しますかね」


//SE 遠ざかっていく足音

//SE 扉の開く音


「ちょーっと、こっち見んといてね。いやまぁ見てもいいんだけど、覗いたらしばらく『パンツ覗きマン』って呼ぶかんね」


//SE がさごそと物色する音


「じゃーん。扇風機with風鈴」


(半笑いのままるように)

「あ? 何つったコラ。それじゃ無理だろって? いやいや先人の知恵ってヤツよこれ」


「ね、意外と涼取れるっしょ。うんうん馬鹿にしたらいかんよ」


//SE ビニール袋を漁る音


(もはや半ギレで)

「何それ? なに『コンビニ寄ったついでにかき氷買ってきた』ぁ? は? ズルじゃん」


「あーウチの分もあんのね。なら、まぁしょうがない。許したるよ」


//SE ガリガリ、シャクシャクとかき氷を砕く音と咀嚼音


(今日イチはしゃいだように)

「んー、ちべてー! アイスもいいけど、夏はやっぱこれだね」


「麦茶片手に扇風機に当たる。揺れる風鈴に耳を傾けつつかき氷をパクつく──これぞ日本の夏ってもんですよ」


(あまり起伏を出さず、まくし立てるように)

「なに? 君はまだ暑いってーのか。もういっそくっついてやろうか? スズメバチを撃退するミツバチが如くアチアチになってやろうか?」


(呆れたように)

「いーや冗談だから。両手広げてカモンすんなし。やめい」


「ま、ウチも確かに一つ足りないとは思ってんだよね──そ、怪談がさ」


//SE 風鈴の音が一度、お鈴のように鳴る


(やや声を潜ませて)

「今日呼んだのは他でもない、その怪談についてなんだよね」

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