プロフィール ビンソン

 ビンソンは元々、アクパーラ建設に関わった企業の当時の創業者一族当主に所有されていた人工知能だった。ビンソンの主人は変わり者で、他の多くの人工知能と同様に自我を獲得した彼を、差別することなく許容した。


 他の同胞とは異なり、平穏で刺激的な人生を送ることができたビンソンは、主人の片腕として企業の勢力拡大に邁進してきた。


 そんな彼が今でも一番の困難だったと感じたのが、創業家に生まれた子供の養育だった。


 彼はある時、主人より子どもたちの保育を任された。ビンソンにとって、子どもたちはまったくの未知だった。多くの学習を重ね子どもの成長過程や育児方法は学習していたが、子どもたちは事あるごとにビンソンの予測や知識を裏切り彼を困惑させた。


 ビンソンは今でも育児の経験が自身の体験した中で一番の困難だったと語る。

 そして同時に、その困難を経験したからこそ、より多くの感情表現を学び、まるで人間のような振る舞いができるようにもなったとも彼は思っていた。

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