おまけと外伝③
おまけ 少女漫画のコラボ企画漫画のようなもの
※兎木ハルカ様https://kakuyomu.jp/users/USAGI_7からいただいたファンアートから着想を得た小話です。ありがたすぎる。
https://kakuyomu.jp/users/sora_shiroshima/news/16818792438272295627
https://kakuyomu.jp/users/sora_shiroshima/news/16818792438272669610
***
こんにちは。私はエミリア・ベーカー。見習い錬金術師です。今日はクッキーを作りました。
「見てくださいジーン先生!」
「ああ、今度はどんな効果の魔道具なんだ?」
「いや普通のクッキーですけど!?」
アマリさん、ジーン先生、ジャスくんのお顔をモデルにしたアイシングキャラクタークッキーです。なかなか可愛く出来ました。
「もう、好きなのを選んで食べさせてあげようかと思ったけどやめました。アマリさん以外でどうぞ」
「食べにくい見た目だな」
「もう!! ロマンがない!!」
などと怒っていたら、突然飛び出すクッキー。
「え」
『っぱ俺を一番先に食べるべきっしょ!』
『クッキーは食べられるのが役割だからね。遠慮なく食べてね』
『いや遠慮するだろ。どんな顔して食べられたら良いんだ気まずい』
は?
「きゃああ!!」
思わず大声をあげて部屋の端に逃げ出しました。
「な、ななななんですかコレは!?」
「……さては錬金知能を入れたな?」
「錬金知能!?」
「ほら減ってる」
ジーン先生が鍋の近くに置いてあった白い粉の入った容器を持ってきます。
「それお砂糖じゃなかったんですか!? 紛らわしい!」
「台所に置いていたならごもっともな指摘だが、錬金鍋で作ってるということは錬金術で作ってるじゃないか」
「てへぺろ」
舌を出して見せると、ジーン先生とジーン先生クッキーがため息をつきます。
「人間の思考を模倣をする魔力の塊だ。お前の思考を元にクッキーのモデルとなった人物たちの模倣をしているらしい」
『ほらほらエマっち、バキバキに砕いてから思いっきり奥歯ですり潰して的な!』
『食べ物の魔道具は美味しいうちに美味しくいただかなきゃダメだよ。ほら、怖がらずに食べてごらん』
きゃいきゃいとクッキーたちが騒ぎ出します。
なんだかよく分かりませんが、このクッキーたちのお喋りは私のイメージが元になってるってこと?
『イメージが偏ってるな。特にアマリ』
「俺の解像度が一番高いのは興味深いな。ジャスパーはアホになっているしアマリは男っぽくなっている」
混乱しているとジーン先生とジーン先生クッキーが同時に文句を言ってきます。
「ちょっとなんですかジーン先生! ジャスくんはアホだしアマリさんはイケメンでしょうが!」
『確かに俺はジャスパーの内面をよくは知らんが、食品なら食べられるという喜びを真っ先に受けようとするのはドMらしくない。食べてもらえず無視され続けることで快感を得る方が納得いく』
「アマリはあと数センチは髪が長いしまつ毛も長い。怖がりだから食べられそうになったら泣いて怯える」
面倒くささがバッチリ再現されてます。
『てか俺閃いたんだけど、放置されてカビ生やされる方がもっとゾクゾクすんじゃね?』
『……言われてみれば食べられるの怖いかも』
悔しいことに、イメージが更新されてクッキーたちが知恵を獲得しています。
「あ、ちょっと!?」
そしてクッキーたちはそのまま皿を飛び出し家を飛び出して逃げ出しました!
追いかけて探しましたが見つからず。
「もしかして自我を持ってしまいました!?」
「そんなわけはない。一見人間の思考のように見えてもただのプログラム魔力の塊だ」
冷静で淡白なジーン先生はあの衝撃の光景を目の当たりにしても平然と仕事に戻ります。
──数日後。
「増えてる!!」
突然家に四枚のクッキーが訪ねて来ました。
『やっぱエマっちも一緒が良いっしょ!』
『こんにちは、人間のエマ。私たちはやっぱりただ食べられる日を待つだけの一生は嫌だと思ってね。何かを成し遂げてから食べられたい』
『俺たちは錬金術師だ。命ある限り調合をやりたい』
『クッキー差別、反対です!』
元気よく言った最後の一枚は私モデルのアイシングクッキーです。
こ、これは。
「完全に生命としての人格持っちゃってるじゃないですか!?」
「いやこれもお前の記憶をもとに計算されたプログラムでしか……。いやしかし、俺たちの思考もまた記憶をもとに計算された結果と言えばそうなわけで、そもそも思考とは生命とは人格とはなんだろうか?」
「哲学始めないで!?」
大変なことになっていることだけは確かです。
『私が腐って私でなくなってしまう前に、パンクッキーを沢山作りたいんです! 材料を分けてください!』
「え? それはちょっと良いアイデアですね?」
「おい」
そしてさらに数日後、瞬く間に彼らは増殖しました。私の記憶の中にいる全人物のクッキーを作り出し、たくさんのパンクッキーを作り上げました。
そのうちに彼らは彼らの街をクッキーで作り上げ、彼ら独自の文化を持ち、彼らの人権について考えるようになりました。
彼らクッキーが私たち人間に反逆を企てる日ももうすぐそこ?
「シンギュラリティクッキー!!!!」
と、叫んだところで夢から覚めました。
夢で良かった。
***
「あ、エマっち見てこれ、アイシングキャラクッキー作った的な!」
「絶っっ対食べません!!」
「突然の理不尽な拒否最高!?」
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