おまけ 少女漫画のおまけ4コマのようなもの
※少女漫画で言うと巻末の四コマみたいな小話。色々なキャラの視点からとなっております。
【寝言と謝罪】 視点:ユージーン
「むにゃ……ごめんなさい……」
過労で寝落ちてなお夢の中で誰かに謝るこのワーカーホリックは本当にどうしたものか。
「ごめんね……あの時……ごめんね……ジーンくん……」
うなされだした。どうしたら良いのか分からない。エミリアも寝ていて頼れない。
「ごめん……」
起こすべきか否か。器用な人間ならこういう時に適切な判断ができるのだろうか。
「間違えて好きなお菓子食べてごめん……。素材棚の並び順勝手に変えてごめん……。ドラゴン語り二時間もしてごめん……」
思ったよりしょうもない。しょうもなくて良かった。
【モテモテです】 視点:エミリア
「アマリさん、さぞやご令嬢の皆様から箱いっぱい部屋いっぱいのクッキーを贈られたことでしょうね……」
ライバルが沢山いることは承知の上。とっておきのクッキーを差し出します。
「え? いやいや、えーと、合計で六個かな。全部魔道具とか仕事関連のお礼で貰った物だし」
と、衝撃の事実を伝えられます。
「え!? こんなに素敵な男装女子が爆モテしないなんてこの国のご令嬢の皆さん間違ってますよ!?」
「そんな、私なんかより格好良い男装の麗人の方々が騎士団に居るし……」
静かに首を横に振りご謙遜をされます。
「私なんて仮に本物の男性だったとしても多分モテるタイプじゃないよ。戦闘は弱いし、口論だって強くないし、怖がりで意気地がない方だからね。しかもドラゴン好きの変わり者だし、何かと不器用で迷惑をかけることも多い」
義理クッキー六個でも多すぎるくらいだ、と眉を下げてくしゃりと笑ってみせます。
「でもでも、賢くて、優しくて、温かくて、私は大好きですよ」
「……ありがとう。だからこそ、こうして自分を慕ってくれる人のことは大切にしたいと思ってる。大事に食べるよ」
そっと両手でクッキーを受け取ってくれて、心底嬉しそうに微笑まれました。心臓に悪いほど魅力的な笑顔です。
もう、どうして皆さんこの方の素晴らしい魅力が分からないのでしょうか。
と、憤っていると、後ろで放置された状況を楽しんでいたジャスくんがひょこりと話に入ってきます。
「ここで情報通の俺が余計な情報をご提供。アマリ様が気づいてないだけで六個全部本命な」
「え?」
「ちな半分が男性から」
「あ、うん。そうだったかも。……え?」
「思ってたのとモテ方の方向性が違ったけど爆モテしていらっしゃる!!」
ああ、ごめんなさい、やっぱり魅力そんなに分かられすぎないでほしいです。
【服飾に関心がない人】 視点:アマリ
「アマリも女の子なんだし、ちょおっとくらい、服にこだわりとかないわけぇ? いーっつもおんなじような服ばっかり着て」
ベラは可愛い服が大好き。たくさん作っては人に可愛い服を着せたがる。新作ドレスをエマに着せて満足したかと思ったけど(エマには申し訳ないことをした)、まだ足りないみたいだ。
「こだわりはあるよ。むしろ強いよ。暑くなくて寒くなくて肌触りが良くて高くなくて可愛すぎなくて少しかっこいい落ち着いた服が良い」
「言われてみれば強ぉっ!?」
断り文句を並べると、ベラは頭を抱えていた。申し訳ない気持ちはある。そこでふと思いついた。
「むしろ本当に服装に全くこだわりのない友人が居るけど、そういう人は逆になんでも着るよ」
というわけで頭に浮かんだ人物を連れてきてみた。
「本っっ当になんでも着るのウケるわぁ」
「俺は別に良いんだが」
「それ着て出歩いたら私もう弟子辞めますよ」
フリフリのドレスを着せられても真顔で佇む友人にベラは大層ご満足だったようだ。
【掴まれたのは胃袋か】 視点:ジャスパー
エマっちはこの国来て最初のマブダチ。
「あ、ジャスくん、居たんですね。ジャスくんて濃い人のわりに影は薄いですよね。激辛カレーパンをどうぞ」
「出会い頭のナイス毒吐き、いずれ肩凝りに効くし」
可愛い顔してぶっ飛んだこととかキツい皮肉とか言うのが堪らんからタイプ的な。
次の日。パンを持ったエマっちとまた遭遇。
「あ、こんにちは。これどうぞ」
「メンゴ、俺今断食中的な」
「ジャスくん好きそうな硬めのバケットですよ」
「んー、じゃあ……」
笑顔可愛いし。
さらに次の日。パンを持ったエマっちとまたまた遭遇。
「こんにちは。匂いの癖が強め、ブルーチーズブールをどうぞ」
「んー、いただき……」
見てるとなんか元気出るし。ちょい落ちそうかも、なーんて。
「諦めてください、貴方も既にパンの虜」
「悔しい!! でも食べちゃう的な!!」
あれ、俺が落ちてんのもしかしてパンに?
おまけのキャラクター相関図
https://kakuyomu.jp/users/sora_shiroshima/news/16818622171441052292
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます