捨てきれなかった紙片
都月とか
一枚目 どうか透明であり続けて
彼は透明だった。
彼は自身をひどく嫌っている。自分の心は黒く空虚で何も無いと泣いていた。
思うにそれは近すぎるのだと思う。
自分の心というものを最も近くで見る自分だからこそ透明に、そして底の黒しか見えないのでは無いかと。
私は彼の隣に居て思うのだ。
彼は青い。
透き通るような青で、流れるような青だった。
深い青だったのだ。
それはきっと宙とか海みたいに透明が折り重なった青なんだ。彼の心には暖かな透明が満ちているのだ。
自分が嫌いになってしまうほどに世界を愛せる優しい人だ。
空色のあなた。
海色のあなた。
透き通ったあなたを今日も隣で想う。
近づきすぎても、遠すぎても黒の貴方は、きっと色々な人に嫌われてきたのでしょうか。
たくさんの見えない涙を流したのでしょうか。
その数だけ自分を嫌いになったのでしょうか。
でも、
でもどうか、
身勝手な私のワガママな願いを聞いてほしい。
どうか、どうか、少しだけでも
嫌いな自分を許してあげてください。
自分の色を認めてあげてください。
貴方の心はとっても綺麗だから。私が出会って来た人の中で、とびきりに綺麗だから。
どうか、もっと笑って欲しい。
優しい貴方の笑顔はきっと人を勇気づけるものだから。
貴方が愛するものの中に自分も入れてあげてください。
愛しい人が自らに傷を付けるのを見るのは苦しいのです。
悲しいのです。
あぁ、
貴方は透き通っていて、優しくて、なにより悲しい色をしている。
あなたに幸せになってほしい。
それを噛み締めてほしい。
きっと貴方は、また拒むのでしょうけど。
私の言うことは何でも叶えてくれようとするのに、これだけは断り続けて。
ワガママな私はもうお冠です。ふふ。
いつかきっと私のワガママを通して見せます。
だから、ずっと隣に、貴方の隣にいることをどうか許してください。
ごめんなさい。こんなうっとおしい女で。
でももし、私の隣でも、いても良いと思ってくれるなら、隣に居てほしい。
私ね、貴方の声が好きなの。
しみいるような優しい声に、思わず微睡んでしまうから。
だから、今日みたいに隣で寝てしまうのを許してね。
おやすみなさい。
貴方が嫌いな貴方。
私の大好きな貴方。
夢でもあなたに会えたら良いな
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