第19話「掴みどころがない人」
「モンスターが襲わなくなった? なんで今更」
私達が事務所でカエリ社長からモンスター達の動向を聞いてたのだが、ここ最近モンスターが女の子を襲わなくなったのと、今まで捕まえてた女の子達を解放するとまで宣言してきた。
「こっちも事情が何なのか分からないが。連中が要求してきたのが、ステラを渡せば誘拐した女の子を解放すると言ってきた」
「私達?」
ますます意味が分からない。
「ワタシも調査をしてる最中だが、四天王を二人も失ったのがデカいのだろう。それにこれは憶測だが、普通の女の子の中には聖女が居なくて、逆に魔法少女になら聖女が居ると思ったんじゃないか? その手始めにステラを要求してきた」
カエリ社長の話を聞いていたら、レイサちゃんが冷静に対応した。
「罠だな。ステラを手に入れても、それが聖女じゃなかったら、また次の魔法少女へと要求がエスカレートする。社長、アンタの妹が助かるかもしれないが、こんな上手い話に乗る必要はないぞ」
「せやねぇ、ワイもそう思ってた」
いつの間にかヤツハちゃんが普通に事務所に居てお茶を飲んでいた。
ヤツハちゃんに対してレイサちゃんは鋭い目付きになった。
「ヤツハ、お前は私達の味方じゃないだろ? なんでここに居る?」
「え? みんなは見たくないの? この見た目が眼鏡っ子の女の子がコンコン鳴きながら狐巫女系魔法少女イナリに変身できるシーンが見れるチャンスなんよ? 見たくないの?」
「その悪ふざけをする癖は治らないだろうな。目的は?」
「うーんとね、警察からの命令で、四天王の一人ランザクの調査を頼まれてな。向こうが要求する内容に不備がないか確認してほしいのと、できればステラちゃんを守ってほしいと言われたんよ」
「まぁ、アンタは強いのは事実だが、でもガイア、キリ、合わせて四人もの魔法少女が現れたら敵は警戒しないか?」
「するやろうね。なので敵がどこまでステラちゃんを知ってるのか様子見して、ヤバいと感じたらワイ達が助けに入る内容なんよ」
はぁ、ヤツハちゃんは仕事で助けるだけなのか。なんか寂しい気持ちがあるな。
私の気を察したのか、ヤツハちゃんが私にロールケーキを渡してきた。
「ミチカちゃん、そう緊張しないでや。甘いもの食べて嫌な気分なんて吹き飛ばそうや」
「え、あ、うん。ありがとうヤツハちゃん」
「それにしても、よくよく考えたらミチカちゃんとレイサちゃんが合体したらステラに変身できるのって、なんか変な想像しちゃうねぇ」
「変な想像とは?」
「ひ・み・つ」
やはり掴みどころがないな、ヤツハちゃんは。
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