第16話「オフ会」

「オフ会?」


 事務所が賑やかになったので、カエリ社長がそんな提案をしてきた。


「うん、いやほら、最近戦闘ばかりで疲れてない? エリマちゃんが来てくれたのは良いけど、本音を言うと魔法少女を3人も雇うと人件費がかかるんだ。その調整をしたいから、今日は君達だけでオフ会してくれない?」


「まぁ、私は良いですけど、レイサちゃん、ナナさん、エリマちゃんはどう?」


「問題ない。ナナとエリマは?」


「ウチ? ウチは大丈夫やよ」


「オレも大丈夫だぜ」


❤︎


 と言うわけで、私達4人は焼肉屋さんに来ていた。


「今日はモンスターとか四天王とか忘れて雑談しよう」


 私は肉を炭火焼きしながら今回の話題を作ることにした。


 すると、エリマちゃんが私とレイサちゃんを見て当然の疑問を発した。


「なぁ、どっちがステラで、どっちがステラじゃないんだ? そもそも二人で一人の魔法少女に変身するなんて前例がないだろ?」


「ウチも気になってたな。そもそも二人はどうやって出会ったの?」


 私とレイサちゃんとの出会いか。


 なんて説明すれば良いか。


 私は二人に話して良い内容なのかレイサちゃんに目配せするとOKのサインが出た。


「あのね、たぶん私がステラなんだと思うけど……ステッキを手に入れてから変身する事ができなかったんだ。理由は今でも分からないし、私は自分が魔法少女に変身できると過信して単独でモンスターに挑んで襲われたところをレイサちゃんが助けてくれたんだ」


「そうだな。あの時は本当に偶然だった。私がミチカの手を引いて逃げようとしたら、ミチカのステッキが光って、気が付いたらステラに変身してたんだ」


「その後、何度もチャレンジしたけど、やはり私とレイサちゃんが二人で一人にならないと変身できないみたい」


 私とレイサちゃんの話を聞いていたナナさんが疑問を投げかけた。


「ウチ達を魔法少女にした魔女のうっかりミス?」


「いや、それを言うと、そもそもなんでオレ達は魔法少女になったんだ? その理由すら謎のままだよな」


 エリマちゃんの言う通りだ。たしかに四天王も大事だけど、そもそもの根源である魔女が何者なのか分からないままなんだよね。


 私達が雑談をしてると、一人の眼鏡をかけた清楚せいそな少女が現れた。


「すいまへんねぇ、盗み聞きするつもりはなかったけど、ワイと同じ魔法少女がオフ会をしてる場面に偶然居合わせたもんやから、つい話しかけてもうたわ」


「アナタは?」


「ワイは狐巫女系魔法少女イナリの中の人の『稲荷いなり ヤツハ』と申します。あ、同席良いですか? ワイも肉を焼きたいわ〜」

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