第6話 過保護は嫌
「やばい!数学のテスト学年九位だった!」
テストが返されると、友彩は興奮気味に成績表を幽霊君に見せつけた。
「幽霊君のおかげだよっ!」
あれから毎日、幽霊君と一緒にテスト勉強をしていた。一緒にと言っても、幽霊君はテストを受けないし、全部わかりきった内容だから、ひたすら友彩のわからない問題を教えて貰うという、ほぼ家庭教師みたいな感じになっていたが。
とにかく、そのおかげで超高得点をゲットできたわけだ。
「すごいじゃん!」
まるで自分事のように幽霊君は喜んでくれた。なんなら友彩よりも喜んでいた気がする。
誰かに見られていたのならそこそこ恥ずかしかったけど、誰もその姿は見えないから素直に一緒に祝杯を挙げた。
「これで当分はのんびりできるー」
中間テストという一大イベントも終わって、ようやく気負いせずにゆっくりできると背伸びをすると、
「え?これからが本番でしょ?」
幽霊君が首を傾げた。
何を言っているのかと眉を顰めるが、「だって」と幽霊君は呆れ顔をする。
「来週体育祭じゃん」
「――あ」
「絶対忘れてたでしょ」
「まあ。でも私は別に競技も出ないし、やることないもん」
「何言ってるの!?体育祭は応援も立派な競技だよ!それにみんなと仲良くなるチャンスじゃん!」
ジト目をしながら睨みつけ、圧を掛けて来るが、余計なお世話が少し過ぎる。友彩は眉にしわを寄せた。
「むっ、またそれ?親じゃないんだから過保護はやめて」
「――」
――キーンコーンカーンコーン。
「もう時間だから…戻るよ」
幽霊君がやけに悲しげな顔をするものだから、予鈴が鳴ってくれて助かった。ああいう時、どうすれば良いのかわかんないんだもの。
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