ナナたん おともだち

オカン🐷

ナナたん 宿題

「トン、トン、トン、ぶたたん、ぶたたん、ぶたまん2つくだちゃいな」


 ナナは右手の拳を左の掌に打ち付けトントンと音を鳴らした。


「そしたら、はやとにいたんが、どうじょあげまちょうっていうの」

「うん、そうか。そこもナナがやってくれ」

「ちょうがないなあ」

「ほかにはどんなのがある?」

「モー、モー、ウシたんんミルクを分けてくだちゃいな」

「ふん、ほかには」

「ピョン、ピョン、ウサギたん、にんじんわけてくだちゃいな」


 ナナは頭の上に両腕を伸ばし長い耳を作り、ウサギが飛んでいる様子を真似た。


「ウサギの人参も、豚の豚まんも納得できないけど、まあいいや」

「これ、ちゅくだいなの。ほかになにかない?」

「そうだな、こんなのはどうだ」

「えっ、なに、なに?」





「でっ、ナナは泣いているのか。それでケントはサッカーの練習にも来ないで、ナナを甘甘してたのか」

「だってキッズスクールからずとなきとおしなんですよ。すみません、サッカーさぼって」

「いいよ、どうせ人数揃わなかったんだ。俺は合気道に行けたし、ソウはピアノに行った。それで、発表する前に、そのモッチとかいう子に教えてしまったのか。でっ、先に発表されてしまったって、ナナはバカだなあ」


「らって、モッチたん、おともたちだから、ヒック、おともたちだとおもったのに、ウワ~ン」


 ルナがダイニングテーブルにフルーツパフェを運んで来た。


「ナナ、いつまで泣いてるの。泣いてる子にはおやつをあげません」

「えっ、やだ~、パフェたべたいよ~、あ~ん」

「じゃあ、りょうたんが戴こうかな」


 どこから現れたのか涼子がナナの隣に腰かけた。


「ため、ためえ」

「実はな、兄たん、間違っていたんだ」

「まちかえてた?」

「メエ、メエ、ヤギさん毛糸を分けてくださいな。これはメエ、メエ、羊さんだったよ」

「「じゃあ、モッチたん、まちがいをはっぴょうちたの?」

「そうなんだよ」

「あちゃまあ」


 ナナは口いっぱいにアイスを放り込んだ。


「うふん。おいちい」

「ほかにも思い付いたぞ。ニワトリさんなら何をもらう?」

「たまご」


 ナナとケントが声を揃えた。


「まだ、あるぞ、リスさんなら何をもらう?」

「クルミ」


 また声がハモった。


「ちょっとまって。ぼくもはっぴょうしなくちゃいけないんだ。ナナたん、ひとつちょうだい」

「うん、いいよ。ニワトリたんでもリスたんでもケントくん、ちゅきなのどうぞ」

「ところで、リスってなんてなくの?」


 大口を開けてルナに作ってもらったパフェをパクつく涼子に視線が集まった。


「んっ、そんなの雰囲気でいいんじゃん。コリコリとかカリカリとか。どうせ本当の鳴き声を言ってもわかんないでしょ」

「なるほど、そうだね」


 ルナがスプーンを置いて携帯に出た。


「蒼一郎からの電話で、ピアノの先生に晩ご飯をご馳走してもらって家まで送ってくださるそうよ」

「えらい待遇いいじゃん」


 隼人がスプーンを舐めながらつぶやいた。

 涼子が放った。


「そりゃ絶対音感の蒼一郎くん、先生手放しませんて」

「ぜったいおんかん」


 みんなが一斉に声を揃えた。




           【了】


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