静叫惨禍
@yuka0808
第1話 始まり
「……ぅ…………」
突然に小さく呻いて、顔を押さえ俯く彼女に
周囲を取り囲んでいた数名の女子生徒が後ずさる。
「何コイツ、いきなり―」
「意味分かんな…」
ドロリ、床に落ちたそれを見て何人かが悲鳴をあげた。
「血…!?ヤダ!まだ何も―――」
「ちょ、大丈夫――」
「っ触っちゃ駄目だって、やっぱこいつおかしい!」
一斉に彼女達が走って行った。
放課後の空き教室に、走るあしおとがむなしく響いていた。
―――――――――――
プルプル…
ピ、
「はい、」
「はい、了解致しました すぐ―」
一方的な電話
一方的な内容
一方的な切り方
「………」
何時もの事だ、本家からの電話は。
ぐい、
そでで乱雑に流血をぬぐう。
カチャリ、携帯を閉じてポケットへしまう。
顔を上げれば夕焼けに染まった教室が目に付く。
彼女は無表情のまま息を一つ吐いて―――
そして、一歩踏み出した。
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