第2話:見知らぬ学校の保健室

見知らぬ学校の保健室。そこには細めのメガネに白衣を羽織ったパーマヘアのイケメンがいた。


「おや? 黒崎くん、おはようございます。珍しいですね。こんなに早い時間から」


その優しい声は、私を抱きかかえてくれているイケメン男子校生――黒崎くんと言う人に向けられているようだ。


この子は保健室の常連なのか?


「朝登校しようとしたら、コイツとぶつかっちまって、見てやってくんねーか?」


そう言うと、イケメン男子校生――黒崎くんは、私を優しくベッドに下ろした。


「それは大変ですね。どれどれ……」


そう言うと白衣のイケメン先生は、私の足を触り少し動かす。


「……ッ……」


私は堪えることができず、思わず声が出る。


「これはひどい捻挫ですね。すぐに冷やして固定しないと」


イケメン先生は手際よく処置をしながら、私の顔を見る。


「ところで、あなたは……? この学校の人ですか? 見慣れない顔ですけど……」


突然の問いかけに私は固まる。それを聞きたいのはこっちの方だった。

ここは一体どこなんだ……?


「……あ……えーっ……と……」


言葉に詰まる私を見て、イケメン先生は書類をあさる。


「転校生とか、来る予定がありましたっけね〜?」


このイケメン先生はどこか間の抜けた喋り方をする人だな〜なんて思っていたら、黒崎くんは、心配そうな顔で覗き込んでくる。


「もしかして、記憶喪失ってやつか……? 俺がぶつかった時、変なところでも打ったか?」


そう言って、私の頭にそっと触れると、怪我がないかを確かめるように触ってくる。


いや……顔近いです……。


「見た感じ、怪我はしてねーみたいだけど」


私が動揺しているのがアホらしく思えてくるほど、彼は気にも止めていないようだった。


最近の高校生っていうのはそういうものなのだろうか……?


そんなことを思っているとチャイムが鳴った。


「ホームルームの時間ですね。黒崎くんは教室に戻ってください」


「え、でもよ」


「あとは私に任せて、ほら」


イケメン先生は意外にもちゃんと先生らしく、黒崎くんを教室へと促す。


「じゃあ、また休み時間に来るわ」


黒崎くんは名残惜しそうに私の顔をもう一度覗き込むと、そう言って保健室を出て行った。彼の大きな背中が見えなくなると、私はホッと息をつく。イケメン先生は、私の足に包帯を巻き終えると、再び優しい声で尋ねてきた。


「さて、あなたはどうしましょうかね〜? もしよろしければ、お名前だけでも教えていただけますか?」


私が返答に困っていると、年配の男性が保健室に入ってきた。


「朝霧先生、今日は新任の先生が来るはずなんだが、見かけませんでしたか?」


その言葉にイケメン先生――朝霧先生はこちらを見た。

その視線につられるように、年配の男性もこちらを見る。


え? 私??

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