無機質な安らぎ
緑町坂白
頭痛がする話
ズキズキ、ミシミシ。
……いつからだったろうか。ここ最近、毎日のように頭痛がする。生活に支障が出るほど酷くなければ、薬を飲んで良くなる訳でもない。言ってしまえば些細な違和感。だが、無視することのできない違和感であり、ストレスの元。
そんな違和感を感じつつ生活することも疲れるものだ。朝起きたときも。仕事をしているときも。寝る瞬間さえ頭痛。いついかなるときも頭痛、頭痛、頭痛……。
疲れ果ててしまった。どれだけ薬を飲もうと、病院へかかろうとこの頭痛は治らない。
だが、ただ1つだけこの頭痛から逃れられる瞬間がある。
あの子のそばに居るときだ。あの子は私の頭痛を治してくれる。あの子だけが、私を救ってくれる。
だから今日もあの子のところへ来た。あの子は人懐っこくて、笑顔がかわいい。ニコニコとしていて、誰もがあの子に魅了される。残酷なほど優しくて、悲しくなるほど懐が深い。ひんやりとした体温とふんわり香る匂いで私の心は満たされる。この子のそばに居るときだけは私は私でいられる。
だから、今日もそばに来た。明日も、明後日も。その先だってそばへいくだろう。ひんやりと冷たいあの子のそばに。
もう、私に微笑んではくれないあの子のそばに。
無機質な安らぎ 緑町坂白 @mdrmt-876
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