スタンプカード

 コンビニでの話だ。

 レジの順番待ちをしていると、前に並んでいたおばさんの手から、なにか薄いものが滑り落ちた。


 多分、ポイントカードかなにかだろう。いろんな店で発行するから、管理だけでも一苦労、となってしまいがちだ。

「落としましたよ」


 と言いながら、それを拾い上げて、ぎょっとした。


 それは、スタンプカードだった。横に五つ、縦に五つの丸があって、何かをするたびに、そこにスタンプを押して、埋めていく。一定数埋まるたびに、特典がもらえる、というタイプの。

 どこの店のスタンプカードなのかは分からなかった。店名の記載がなかったからだ。


 ただし、おぞましい場所のものなのは分かった。

 横五つの丸。それを埋めるたびに貰えるであろう特典が書いてあった。それは上から順に。


 爪剥ぎ。

 指落とし。

 鼻削ぎ

 目抉り。

 首落とし。


 となっていたからだ。

「あらまぁ、ありがとうね」

 人の良さそうなおばさんは、こちらの様子など気にすることも無く、笑顔でスタンプカードを受け取っていた。

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