ケガレているのは

「最近ドラマに出てるあの芸能人、そうそう、あいつ。あいつ、海外の有名な観光スポット行ったのよ、知ってた? ただ観光行っただけなら良いんだけど、あそこ、ケガレの満ちてる場所なの、知ってる? あんなところにばっかり行ってるから、ケガレが溜まって行くのよ、ねぇ聞いてる?」


「うん聞いてるよ」

 私は彼女に向かって、そう答える。

 まぁ、半分くらい嘘だけど。

 こんなしょうもない話を、半分くらいはちゃんと聞いてるから、立派なものだと思う。


 そんな私の考えを知るはずもなく、彼女はまた続け始めた。

 やれ、どこぞの有名セレブはケガレが、だの、有名人はケガレが、だの。

 随分と偏ったスピリチュアル系の話だ。

 明らかに、嫉妬やっかみで構成されている感じの。


「全く、どうしようもないと思わない?」

「そうだね」

「でしょう?」


 私が相槌を打つと、彼女はにこにこと笑う。

 もっとも、私は彼女の言う事に、一ミリも共感なんてしてないのだけれども。


 むしろ、おろかで、間違っていて、ばかみたいだと思っている。

 でも、私は彼女を諌めたりはしない。


 笑顔で、私は言う。

「本当にどうしようもなくて終わってるよね」

 彼女が、どんどんどうしようもなく、落ちて終わっていくのを見るのが、面白いから。

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