第6話 成長
私と純一郎は、あの日の告白から友達以上恋人未満の関係でいた。しかし、仲間にはバレないように以前よりもぎこちない関係になった。
一年たった今も…。
顔が見えない人と話すのは苦手で、電話は好きじゃない私のために、純一郎はほぼ毎日、眠る前にメールをくれた。それはそれは長く一方的なもので・・・。彼の誠実さが満載で、けっこう癒されている。内容は、シンプルに、その日にあった事。そして、彼がどう感じたかと言う事を、事細かに書いてあって、私は純一郎の日記を読んでいるようだった。今までに分かっていなかった純一郎という人を知っていくようで、しっかり彼へ引き込まれていった。だけど、あの告白の日から、実際に会っている時には、不自然なほどに二人きりを避けるようになったし、あからさまに目をそらしたから、あの日以前の方が自然に一緒に居られたので、淋しいと言うか、残念な気もしていた。
お風呂上がり
お気に入りのモコモコな部屋着に着替え、女子力を高めてベッドに転がり、部屋でスマホを見つめた。
デートをする気分。
ニヤニヤしながら彼の文字を読む私は、一人きりの世界。そんな時、何か違いに気が付き画面から目を横へそらす。ビックっと体全体で驚く私。ベットの横には栞がちょこんと座っていた。
「びっくりした!!」
私は慌ててベッドに座りなおしてクッションを抱きかかえる。するとニヤニヤして栞は、私の横にフワッと座り直した。
「どうしたの栞ちゃん?いつ入ってきたの?」
すると栞は、微笑みを浮かべながら、
「ん~ずっと居たよ。悠ちゃんがスマホを見始めた頃からずっと。声もかけたよ。聞こえてなかったみたいだけど。最近、悠ちゃん心ここにあらず?って感じで、全然かまってくれないからさ・・・。会いに来たんだ。」
栞はあのころから変わらず、涼太と仲良しで、まるで家族のように家に入り浸っていた。私も弟が二人になったようで、彼を家族の一員として自然と受け入れていた。私の部屋にこんな風に突然入ってきたのは初めてだけど・・・。こんな風に近くに座られると、さすがに緊張する。だって、最近では背も高くなって、女の子のようだった栞は、きれいな男の子になっていって、今では息をのむような美少年だから・・・。
先日も七海と美咲が家に泊まりに来た時。
「ねぇ、悠はあんな奇跡的なイケメン達が家にいて何にも思わないの?」
七海はテンション高めにいう。
「私も思ってた!涼太君は弟だから仕方ないとしても、もう一人の子。とても綺麗でドキッとする~。
さっきも廊下ですれ違ったとき挨拶してくれて、
顔が熱くなっちゃったもん。」
いつになく美咲がおしゃべりになった。イケメンは女子の口数を増やすものだ。
やはり、いつまでも子供ではないこの子に、少しずつ異性を感じているのは確かだ。だから、ベッドで横並びに座られると気不味いから、鼓動が大きく響いて、苦しくなる。
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