第3話 大学デビュー

地味な高校生活のおかげもあって、結構いい大学に入学できた私。

やっとオシャレや遊びにも興味を持つようになり、同じゼミの仲間と遊びにいったりするようにもなった。世にいう大学デビューという状態だ。


彼氏もできた。


あれは、大学2年生の時だった。人生初の告白をされた。

5月に行ったゼミの皆でバーベキューキャンプでの事だった。


みんな仲の良い男女6人。

七海(ななみ)は、

帰国子女で気が強いと言うよりは芯のある性格。男の子たちは、長く美しい髪の毛に騙されがちだが、気持ちのいいほどにサパサパした性格で男勝りだ。

美咲(みさき)は、

小学校から高校まで女子高育ちで、父親以外の男の子と関わったのは大学生になってからという箱入り娘。免疫がないからか?ゼミ生以外とは緊張してなかなか会話ができない不器用で大人しい子。

聡(さとし)は、

かなりの苦労人らしく、大学の学費もアルバイトを掛け持ちして支払っている。そんな事もみんな分かっているから、ノートや情報を彼に惜しみなく彼に渡している。

純一郎(じゅんいちろう)は、

育ちの良さを隠しきれない優等生。たまに自分の世界に入り込み、囁くように独り言をいっているところが面白い。時々、大人びているように見えるので、皆に頼られることが多い。

修斗(しゅうと)は、

ハキハキとした性格で言いすぎてしまうことも多々ある。ピュアで曲がったことが許せない性格。みんなから”もっと柔らかくなれ”とからかわれている。


1年生の時から変わらないメンバーだったから、これが初めてのバケーションではなかった。


暗黙の了解ではあるけど恋愛は禁止。


誰かが誰かと付きって、良いときはいいけど、万が一別れてしまったら、仲間との関係も亀裂が入ってしまう。みんなこの心地の良い仲間との関係を大事にしているのだと思う。


(キャンプ当日)

テント張りやバーベキューの準備。私たちは、男女関係なく全員で手分けして協力して作業する。

準備を終えるとレクレーション。今回は、七海と修斗がレク係だから、アクティブ系。バドミントン大会。一時間もすれば、もうくたくた。いい具合にお酒も入っているから、つぶれた人からテントに雑魚寝状態になった。私は、お酒が強いわけではないけど、今日はなぜだか酔えなかった。

夜になると、満点の星空の中、私は一人、テントから少し離れたベンチでスマホを見た。そして、思い出していた。


昨日、皆でこのキャンプの打ち合わせをしていた時の事。

”ポロリン”

とメールの着信。すぐにメールを見ると、目の前にいる仲間からのメール。


”明日、悠に話がある

皆が酔いつぶれたら話したいから

少し離れたところでまっててほしい。

くれぐれも誰にも内緒で、一番に酔っぱらうなよ!”


純一郎からだった。


意味深なメールに、思わず彼の顔を見た。すると彼は、不自然に目をそらした。


”なにかあったのかな?”


とてもとても気にはなっていたけど、私も何もないふりをした。だけど、その時からずっと胸がドキドキ音をたてた。なんだか良からぬ期待をしてしまうこの状況に緊張すらしていた。







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