第1話 【混沌《カオス》と秩序の境界線《ボーダーライン》】
●【作者】ぐるこ☆(スター)さみん
●【作品タイトル】 『
●【男女比率】男3/女性3/不問2/(合計8人台本)
●【目安時間】 約90分。
●【ジャンル】 ネオ・ミソロジカル・ラメント・ダークファンタジー
●【配役一覧】(敬称略)
ナレーション(不問)→
オーディン/
ロキ(♂)→
トール(♂)→
フレイ(不問)→
フレイヤ(♀)→
イズン(♀)→
???(※作中で
──────────────
【第0幕:冒頭モノローグ】
ナレーション
───お集まりの
秩序を
それでいて……誰よりも、愛を
─────彼の話をしよう。
生まれついた時から、彼には【枠】がなかった。
善と悪の境界線も、
─── “
彼の名は、"
そして、誰よりも……“見つめる者”。
時に世界を
時に誰よりも純粋な
時にただ
────それは
彼は知っている。
世界は“秩序”と“祈り”によって成り立っていると言う"幻想"を。
そして彼は信じている。
その"祈り"が
────だから、彼は境界を歩く。
外の神。 異界の
“世界にとって必要ではないが
必要とされてしまった存在”。
───……そう、これは一人の神が
一人の名もなき"器"と出会い、“願い”という名の
"地獄"に踏み込む、そんな、夜よりも深い。
"祈り"よりも哀しい、 愛よりも狂おしい
【初恋の痛み】の物語である。
作者 ぐるこ☆《スター》さみん
【
―境界ノ座に咲ク祈リと嘘― 】
第1話【
【第1幕:北欧神殿・書斎の一室/神々の談笑】
ナレーション
北欧の神々が住まう神殿、ヴァルハラの奥深く。
その一角、薄明かりに包まれた書斎のような部屋に、ひと
彼の名は、オーディン。
北欧神界の最高神。
片目に知恵を宿し、
されど今は、玉座ならぬ重厚なデスクに向かい、
山積みの
古びた巻物を一つ開き、
「発言者順・調整用一覧」なる
渋い声で己の発言をこっそり練習する姿は、
オーディン(玉座に座って厳かに)
「……ふむ。さて、明日の
やはり来たる例の件のへの備えと……──」
ロキ(ヒョイと出現)
「うっわぁ~また始まったよ、
ジジイの会議ごっこ~」
オーディン
「ジジイ言うなッ!!!!
そして誰に向かって言っている!!!
我は至高の神、全知全能にして──」
ロキ(どさっと玉座のひじ掛けに座る)
「はいはい、イイ歳こいてごっこ遊びに
ナレーション
ニヤニヤと相手を小馬鹿にするこの男の名はロキ。
変化と混沌を司るその神は今日も例によって
突拍子もなく現れては場の空気を
その
多くの神々の眉を
時折見せる鋭い眼差しに、ただの"道化"とは
言いきれない気配を宿している。
だがこの時ばかりは彼が“玉座の
ひじ掛けに座る”と言う行為に神経を
イズン(冷ややかに)
「ロキ、
お行儀の悪い子はトールの
打たれてみる???」
トール(やる気満々に片手にハンマーを握り)
「おう!!!任せろイズン!!!
ついにヒーローである俺の出番か!?!?」
ロキ(ヒョッと離脱して棒読みする)
「ウワー脳内筋肉爆弾ダー。
助けてーディンえもんー」
トール
「なんだとゴラァァ!!!???
ヒトの親父をどっかのマスコットキャラみたいに
呼ぶな!!!
つーか、お前また誰かの
盗っただろぉ!?!?」
フレイ(間に入りつつ微笑む)
「はいはい、二人共落ち着いて。
一応、これから会議なんだから。
それに
確認済みだよ……今の所は、だけど……」
フレイヤ(座りながら髪をいじって)
「アタシの首飾り盗んだら、
マ ジ許さないかんね???
この前のロキの変装、マジでドン引きだったし」
ロキ(堂々と)
「いや~似合ってたでしょ???
ボクがフレイヤのコスプレした時、
トールってば鼻血出してたじゃん、
これだから童貞は単純だよねー」
トール(顔真っ赤にしながら)
「はぁ?!だだだだだ出してねえわ!!!
誰が童貞だ!!!どどどど童貞じゃねーし!!!」
イズン(淡々とリンゴの香りがする紅茶を飲みながら)
「トール、そんな悪い子はいっそ“封印”と言う
手段も考えた方が
いえ、ロキには腐りかけのリンゴでもくれて
黙らせるべきかと」
ロキ
「ひっどいなぁ、こんなの
相変わずイズンはボクが嫌いだねー。
でもボク、リンゴなんかで黙らないよ???」
イズン(凍りつくほどの笑みをロキに向け)
「いいえ。
口の中で発酵して死にかける所まで行けば、
少しは静かになるでしょう???」
ロキ(引きつる笑顔)
「……コワ。やっぱ君が一番コワいわ~……」
フレイヤ(うっすら呆れ顔)
「……うーわ、キッショ……。
でもロキって色んな女神達にモテ過ぎじゃね???
ほら最近、あの冥界の女子と超仲良しでさ……。
マジキモ……」
フレイ
「フフ、おや?嫉妬かい、フレイヤ???
ロキが最近構ってくれなくて寂しいって
ごねていたみたいだけど……」
フレイヤ
「ち、ちちちちがうし!?!?
なぁに言ってんのよ、お兄様!!??
アレはないわーって意味の、そ、そう!!!
常識の話!!!!」
オーディン
「はぁ……そろそろ本題に戻るぞ、馬鹿共。
まったくお前達ときたら……
ロキ(肩をすくめて、へらりと笑いながら)
「いやぁ~良く考えて見なよ、オーディン???
こうして“雷鳴筋肉ゴリラ”のトールの
怒鳴り声聞いて、 “農耕シスコン兄ちゃん”の
フレイが間に入って、“ブラコンギャル女神”こと
フレイヤが毒を吐きつつ、 “万年アンチエイジングの
リンゴ馬鹿”のイズンが静かにブチキレてると……
ああ、今日も
思うんだよね、ボク」
オーディン(怒りを抑え、震える手で杖を握りしめ、鋭く睨みながら)
「ロキ……そろそろ、我にも我慢の
限界がある………。
お前の
だが、今はまだ見逃してやっているんだ……
分かるであろう???」
ロキ
「お、おう……中年が本気で怒る前に
大人しくしよっと」
トール
「いや、まんま中年って言ってんじゃねーか」
ロキ(玉座のひじ掛けに寝転びながら)
「もう~ホント、いちいちトールは
小言が多いよね~。
そんなんじゃモテないよぉ???
それに前に小言を言って僕んちの子供を
泣かしたじゃん???
子供泣かすとか、ヒーローとして
どうかと思うけど。」
フレイ
「うーん……それだけはロキには言われたくないって
思うけど……」
フレイヤ
「ほんそれー。ねー、お兄様。
おま言うって感じぃー」
イズン
「一言一句、
貴方 の
詰めながら言って差し上げましょうか、ロキ???」
ロキ
「え~もぅ、皆、失礼しちゃうなぁ。
てかさ~中年とかじゃなくて正直老いだよね、
オーディン。
白髪増えた疑惑、そろそろ認めたらぁ???」
オーディン(杖で床をドンッと強く叩く)
「黙らぬか!!!この"お騒がせ邪神"が!!!
我が髪は“英知の銀”!!!!
断じて老いではない!!!
フレイヤ(小声でボソリと)
「……昨晩、フリッグ様が
見たって話をしてたけど………」
オーディン(振り返り)
「なななななんだと!?!?
フ、フリッグが?!?!
ま、まさか見ていたのか!?!?
そ、それは……その、そう!!
身だしなみをだな!!!」
ロキ(腹を抱えて笑う)
「何それ!?!?だっさ!!!!
オーディンが美容意識とか!!!!ウケるー!!!!ボクの方が断然イケメンだからって嫉妬で対抗して
そんな慣れない事してんのー?!?!
プギャー!!!!」
フレイヤ
「それはない。絶対それはない。
ロキに嫉妬とか
トール(ミョルニルを片手で回しながら)
「おいロキ、ちょっとこっち来い。
一回だけでいいから顔面に
ロキ
「やーだよ脳筋、あっかんべーっだ。
ボクの顔は崩れたらどうしてくれるんだよ、
芸術的造形なんだからさ~」
フレイ(苦笑しながら)
「ま、まぁ……ロキは確かに
綺麗な顔はしているけど……イ、イズン???
……凄い顔に……。
イズン
「事実と妄想の境界を把握する努力を
ロキに吐き気がしただけですわ……。
お気遣いなく……」
ロキ
「このリンゴ女、ホントにボクには
まだあの時の借りパクの事、恨んでんの???
でもさぁ、仕方ないじゃん???だぁってぇ~
ボクの魅力は万国共通、
フレイヤ(きっぱりと)
「ないわね、マジでねーわ。
そんな事になったらもっかいラグナレク起こすわ」
ロキ
「げぇ、愛と美の女神が即答かよ。
ってそんな事でラグナレク起こさないでよ」
トール
「お前の魅力は“痛さ”だ。
殴って気持ち良い部門でトップだな。
殴ると良い音が鳴るんだよなぁ、こう、メキッと」
フレイヤ(片手で手鏡で持ち、自分の髪を整えつつ)
「ロキが変な事言うからでしょ???
て言うか、ずっと疑問だったけど
なんでロキって女子に人気あるの???
マジでありえなくない???」
ロキ(指ハートしながら)
「それは~ボクが~罪深き小悪魔系だから~~」
フレイヤ(手鏡が割れる音を響かせながら)
「………ぶっ殺すわよ???
………いいえ……。
今、
ロキ(慌てて後ずさりしながら)
「ま、待ってフレイヤちゃん!?!?
ボクは君のそう言うとこも好きだけども!!!
暴力は駄目じゃないかな!?!?
そのひび割れた鏡で何しようとしてんの!?!?
こっちくんなし!!!やだ!!!暴力反対!!!
助けてフレイおにぃ……ぎゃあああぁぁあ!!!」
オーディン(こめかみを抑えて)
「……はぁ……相変わらずロキは
口が軽くてかなわぬ」
イズン(紅茶を口にして)
「オーディン様がロキを放置してきた結果です。
“自業自得”って言葉、知ってるでしょう???」
オーディン
「ぐぬぬ……我のカラスのフギンとムニンでさえ
最近は“ロキの会話が
毎回うるさいから有給使います"と言って
巣に帰ってばかりで……」
ロキ(ポンッとオーディンの肩を叩く)
「大丈夫だよ、ジィさん。
あとで耳栓あげるよ、片耳分な☆」
トール
「ケチか!!!両耳分くらいあげろよ!!!」
フレイ(そっと時計を見る)
「ね……ねぇ、フレイヤ……。
これ、もう1時間くらい経ってないかな……???」
フレイヤ(しれっと)
「
お兄様は真面目だから…でもそんな所も
大好きなんだからね、勘違いしないでよね!!!」
イズン(冷静に)
「では議題進行の為にリンゴ型ミョルニルを
作ってみましょうか……試作品はロキの
首筋にピッと」
ロキ
「イズン!!??それはやめよう!?!?
会議ってそんな穏やかじゃない兵器を
持ち込むものだっけ!?!?
絶対違うよね!?!?」
オーディン
「オッホン!!!お
……これよりお前達に話すのは明日の
一つ、異例があるのだ……」
フレイヤ
「異例???
今までそのような事はありませんでしたが……」
オーディン(厳かに、声に重みを込めて)
「……今回の
遥か東の果て。
謎に包まれていたかの神、
【
【第2幕:告げられし異神、カミムスビ】
ナレーション
オーディンがその名を告げた瞬間、
神殿の空気が変わった。
まるで音の波が引くように静まり返る。
まるで“その名”に何か力でもあるかのように。
───【
その名を聞いた神はあれども、
"正体"を知る者はいない。
だがその力も、姿も、意志も、全てが霧の中。
謎を
その神が他国の神々の前に姿を現そうとしている。
それは
イズン(驚きの色を隠せず)
「
かの名高い神が……それは
フレイ(眉をひそめて)
「今まで交わった事もない、
あの噂話でしか聞いた事のない神が………
オーディン
「理由は
同様、何も知らされていない……」
トール(興味津々に)
「カミム???なんだそいつは???
舌を噛みそうな名前だな」
ロキ
「なになに何?!?!なんか面白そうじゃん!!!
で???フレイとフレイヤは知ってそうだけど、
その神ってどんな神なの???」
フレイヤ(腕を組み、眉間に深い皺)
「それが……【分からない】のよ……。
本当に何も分からないの」
トール(首を傾げ、小首をかしげるように)
「おいおいフレイヤ。
お前が【分からない】だと???
一体どういう事だ???
国の神とは
フレイ(ゆっくりと呼吸を整えながら口を開く)
「そこは僕が説明するよ、トール。
……実はこれがなかなか複雑でね。
僕達の世界とは全く違う神話体系の
神だからってわけじゃない。
他国の神々もあの神についてはほぼ断片的にしか
伝わっていなくて、
ロキ(興味津々で身を乗り出し、眉を上げる)
「断片的??なんだよそれ???
あの国の神々とはフレイヤとイズンは
女子会だってした仲なんだろ?
じゃあもっと詳しく知ってて当然じゃないの???」
イズン(落ち着いた口調でゆったりと)
「えぇ……その通り、普通ならそう思うでしょうね。
けれど、【
太古の
他神話圏との交流も少ない。
だから情報が
フレイヤ(続けて少し苛立ちを含んだ声で)
「しかもその神は単なる存在じゃなくて、
それ以上の神って噂されてんのよ………。
あの国の最高神のアマちゃ……
その神には逆らえないらしいの。
アタシ達の感覚や理解を超えた、本質的に
違う存在である可能性が高いわ……」
フレイ(顔をしかめて言葉を選ぶように)
「だから、【分からない】のは単なる
情報不足じゃないのさ。
もしかしたら、僕達がこれまで築いてきた神
話体系の枠組みすら通用しない、
根本的な違いがあるのかもしれない……」
オーディン(杖をしっかり握りしめ、静かに頷き)
「…………その通り。
【
我々、
越えた存在とも噂で聞く………。
フレイヤ(ため息を吐きながら)
「だからこそ、今回の
議案を出すってのは余程の事がある
ロキ
「ふーん………面白そうじゃん。
明日だっけ、その
僕も着いてこうかな~」
イズン(腕を組み、鋭い目でロキを見る)
「ロキ、貴方が着いて行くのはお辞めなさい。
余計なトラブルを呼び込むのは
ロキ(にやりと笑いながら)
「トラブル???
それが僕のトレードマークだろ???
でもね、今回ばかりは面白い展開になりそうだし、
見逃せないよ」
トール(ミョルニルを肩に担ぎながら)
「おい、ロキ。お前が行くなら俺もついて行くぞ。
そいつが何者か、俺の力で確かめてやる」
フレイ(軽く微笑みながら)
「トールがそう言うなら、僕も同行しよう。
未知なる存在との接触は慎重に
フレイヤ(頷きつつ、髪をかき上げて)
「アタシもよ
その神がどんな力を持つか分からないし。
何かあれば私とお兄様の力で皆を守るわ」
オーディン(静かに立ち上がり、杖を天に掲げ)
「よかろう……明日の
皆、
この未知なる神と向き合え。
だが!!!くれぐれも
特にロキ!!!お前はな!!!」
ロキ
「へーへー。分かってるよ」
【第3幕:神議り当日・神々の大広間】
(各国の神々が円卓を囲み、緊迫した空気の中で次々と議題が交わされている。)
ナレーション
────
それは
一堂に会する、大いなる
地上界、天界、冥界をも
己の知恵と力を
破滅の
その場は単なる会議に留まらず、神々の
秘められた
時に友情と対立が
歴史の転換点となる瞬間が生まれる。
ロキ(大きく欠伸をしながら)
「ふぁぁ……
退屈だな~まだ終わんないの~???」
トール(鋭い目でロキを睨みつける)
「お前、ここは遊び場じゃねぇんだぞ!!!
ったく、神々の未来が掛った大事な会議だって
分かってるのか???」
ロキ(軽く肩をすくめてニヤリ)
「えー、でも正直言ってさ。
毎回同じ長ったらしい話が続くだけじゃ
眠くもなるってもんだよ。
もっと派手に動けば盛り上がるのにな~」
イズン(静かに紅茶を一口飲みながら)
「ロキ、貴方のその態度が一番場の空気を
乱しているのよ、
……とは言え、退屈そうにしていても
貴方の
見えますわね。
何か面白い事でも期待しているのかしら???」
ロキ(わざとらしく肩をすくめて)
「まあね……よく知ってるじゃん、流石イズン。
噂の謎に包まれた未知の【
どんな議題を持って来るのか、正直興味はあるよ。
でもこうやって皆が重々しく話してるだけじゃ、
眠気が勝っちゃうんだよ、ふぁぁ……」
フレイ(優しい声で)
「ロキ、それは危険な考えだよ。
油断は命取りになる。
神とはいえ、皆一枚岩じゃないんだからさ」
トール(真剣な表情で)
「フレイの通りだ。
俺達はただ騒ぐ為に集まってるわけじゃない。
未知の力に立ち向かう覚悟を持て、アホロキ。」
ロキ(少し真面目な顔で)
「アホロキって言うな、
このムッツリすけべトール!!!
もぅ、マジでそう言うとこはジジィに
そっくりだよね~……でも……だからこそ、
今の内に退屈を楽しんでるのさ。
もうすぐ会議も終盤だ。
【
だからあのジイさんは慣れない議長なんてポ
ジションでいる………。
本当はそんな
フレイ
「そうだね、確かに
【議長なんて面倒臭い仕事はやらん!!!】って
突っぱねちゃうのに。
きっとオーディン様なりの優しさだと
僕は思ってるよ」
トール(机に置かれた葡萄を食べながら)
「……けどよぉ、その【
本当に来てんのかよ???
何者かも分からない、記録にもろくに載ってねぇ。
その名を聞いた事があっても姿は誰も
見た事もねぇと来た」
フレイヤ(髪を撫でながら)
「アタシも
今回の
"お披露目"って事で“特別席”も
ナレーション
──その“特別席”は
異質な空間に
他の神々の座が
象徴するものであったのに対し、
まるで“何も無い"事を
ただ“
一切、
“
それが最も古く、最も遠い神。
【
誰もが無意識にその場所を避け、
目を
理由は分からない、ただ、“本能が拒絶していた”。
まるで
"自分達の存在、そのモノ”すら
会議が終盤を迎え、オーディンは杖で
軽く床を叩き、神々の視線がその“空席”へと
集まり始めた。
まるで引き寄せられるように。
オーディン(重く威厳のある声で円卓に響く)
「それでは──次の議題へ移ろう。
我等が最後に語り合う議題はこの方より……」
(にこりと微笑む
???
「────堅苦しい話は無しにして、
もっとオモロイ話をしようや………」
ナレーション
────────その時、“音”が、消えた。
イズン(眉をひそめ、小声で)
「……今、何か……空気の層が、一つ……
"堕ちた"……???」
トール(鋭く立ち上がり)
「おい、見ろ……あそこだ……」
ロキ(不意に笑いが止まり、身を乗り出し、目を見開いたまま固まる)
「……………なんだ……"アレ"………????」
ナレーション
“空席”だった筈のその場所に、
“何か”が"
“最初から存在していた"のに、
"認識出来なかった”ような、そんな"
明確に“見る”事が出来ない。
光の向こう、影の内側。
“視界の死角”にずっと
“形を持たぬ存在”。
静かに椅子に腰かけ、
"何か"が"
オーディン(低く、威厳をもって)
「……
……本日はお越し頂けた事、深く感謝申し上げる」
「おおきに、おおきに。
……よう
ありがとぅさん、オーディンはん。
ほんまは……
ずっと"
話が
フレイヤ(小声で、息を飲む)
「……声だけが、脳裏に響いて……何これ……
"見える"のに何も"視えない"……気持ち悪い……」
フレイ(静かに頷く)
「うん……“確かに居る”……でも……これは……」
オーディン
(……"
“視えるかどうか”だけではない……。
まさしくその"
しかし……まさかこれ程とは……)
「 お初にお目にかかるなぁ、
アタシは
神と人。神と神、モノとモノ、人と人。
神と場、場とモノ、場と人を結ぶ
日ノ本の神さんや。よろしゅうなぁ」
【第4幕:
ナレーション
──その姿と声に全ての神々が沈黙した。
【
時の初めに 【
ただ“
そんな彼女が現れた瞬間、大広間の空気が
まるで時ごと
トール(目を見開いたまま、乾いた笑みを浮かべて)
「ハハッ………なんだありゃ……
あぁ………超級にヤべぇ……………。
冷や汗が止まらねぇ……こんなの初めてだ……」
ロキ(かすれた声で)
「……嗚呼……その通りだね………
あのヒトの最初の一言で………
背筋がゾワってしたよ………
まるで身体だけじゃなく、心も魂すら
"掴まれた"みたいな……“言葉”の
直接、撫で回して来るような……妙な感覚だ……」
フレイヤ(震えたがらも冷静さを保ちながらも、眉間に皺を寄せ)
「ロキ……貴方ほどの神でさえ、
そう感じたなんて……」
フレイ(冷や汗を静かに流しながら)
「………いや、むしろロキだからこそ
分かったんだろうね。
“世界の
あれは……神の言葉じゃない………。
もっと根っこの、“世界の
オーディン(声に緊張が走る)
「……
今回の
頂いている北欧神のオーディンと申します、
お見知り置き下さると
「フフ……なんやなんや。北欧の最高神ともあろう
オーディンはんが、そないに緊張する必要も無いし、警戒する事もないで?
アンタら
アタシの姿は見た事なんやっけなぁ?
可愛ええなぁ、可哀想やなぁ、オモロイなぁ。
笑ったろか?笑ろぅたろなぁ」
ナレーション
その声は柔らかく、まるで子供のように
無邪気に響く。
しかし、その裏には時空を超えた
神々の
微かに波打ち、神々の間に言い知れぬ恐怖が広がる。
「そうそう、話のお題やったなぁ。
なぁに、そんな退屈な話やないで?
“
超えた"モノ"の話をしよう思ってなぁ…………。
………アンタらは、“黒い月”っちゅうもんを、
知っとるけ???」
ロキ
「…………"黒い月"……???」
【第5幕:"黒い月"と言う禁忌】
ナレーション
その言葉は、場を重く静かな闇で包み込んだ。
口を閉ざす。
─────────“黒い月”。
存在してはならぬ"影"のような"領域"。
ざわめく神々が互いの顔を見つめる中、
トールは
場の緊張は更に高まった。
トール(眉をひそめて)
「……"黒い月"だと???
誰も知らねーよ、そんなもん。
どの
イズン(静かに首をかしげ)
「
聞いた事がありませんわ……」
フレイヤ(フレイとヒソヒソ話のように会話し)
「“黒い月”なんて、見た事も聞いた事もないわ。
だって……月は
一つしかないじゃない?
ただの天体の満ち欠けとかじゃないの?
新月とか、月食みたいな……。
……お兄様は、どう思う???」
フレイ(考えながらゆっくりと答え)
「うーん……僕も知らないなぁ……。
僕ら、北欧
運航を任されているけれど、そんな話は
一度も聞いた事がないし……。
でも……もし、それが本当に“黒い月”として
存在するのだとしたら……どうして僕達神々が
【知らない】んだろう……???」
オーディン(慎重に言葉を選ぶ)
「……“黒い月”と言う名のモノは我が記憶にも無い。
そのようなモノが我々の知識の
外側にあると……???」
「そやろなぁ……誰も知らへんはずや。
そもそも“あらへんモノ”やさかいな。
“
誰も語らへん、“黒い月”。
でもそれは確実に今も、“
……“あらへん”と信じ込んでたんは
一体、
ナレーション
大広間の空気を切り裂いた。
"
神々の胸に重く不安の影を落とし、
疑念がざわめいた。
そんな中、
片目を細めて静かに杖で床を叩いた。
響く振動と共に拡がる音を
神としての
しかしそんなオーディンとは対象的に、
静かに再び
その
揺るがす序章のように冷たく重く大広間に
伝い渡った。
オーディン(低く、重々しい声で一歩、前へ出て)
「……
その“黒い月”なるものが本当に存在するならば、
“黒い月”を議題として我々に
その
「フフ、オーディンはん。
アンタまるで"人間"みたいに言うんやなぁ。
"存在する”ちゅうんは、"人間"の言葉や。
あれは“
ナレーション
まるで
その指先が空を撫でるように動く度、音もなく、
気配だけが変わり、"何か"が"揺らいだ"。
彼女が語ろうとする“ソレは、
言葉にすれば壊れてしまうような
しかし確かに“
"
"光と闇"、"秩序と混沌"の
それは姿を持たず、名も持たず、。
けれど確かに風の中に、夢の底に、記憶の
気配を残している。
まるで"語られぬ真実"を封じた結界のような、
しばしの沈黙は永遠のような感覚さえあった。
やがて
「えぇなぁ…その顔、可愛いなぁ、可哀想やなぁ…。
フフフ…でもまぁ、アンタらみたいな
神さん達でも"黒い月"を知らんのも
無理もない事なんよ。
これを知っとるんは
そしてアタシともう一人……。
けど……………オーディンはんや……。
アンタの"身内"にもあの"黒い月"を
感じる者はおるんやないけ………???」
ロキ
「!?!?」
(こいつ……今、このボクを"捉えた"……!?!?)
ナレーション
その
ロキの
普段の悪戯っ子の仮面の奥底で
何かが
自分の内に潜む
彼でさえも知らなかったのだ。
場には静かな
誰もが触れたくない、けれど避けられぬ未知の闇に
会議場は
ロキ(はっと息を呑み、声を絞って手を挙げて神産巣日神を見る)
「………あのー……それってもしかして……
ボクの事だったりするのかな、
ボクの名前は……────」
「うんうん。こん中ならアンタやろなぁ、
知っとるでぇ、アンタの事はなぁ。
でもそんな"異端で
知らんかったやろ……???
"黒い月"なんてあらへんって………。
ほんまにオモロいなぁ……
可愛ええなぁ、可哀想やなぁ
笑ったろか?笑ったるなぁ………フフフ……」
ナレーション
その言葉にロキは背筋を更に凍らせた。
だがその微笑みの奥にあるのは、無邪気な残酷さか、あるいは……切なる警告か。
トール(苛立ちを抑えきれず、立ち上がって拳を机に打ちつける)
「ふざけるなよ、
黙って聞いてりゃ、
この場に集う神々を
“知らなかった”事を笑うのか!?!?」
神皇産霊神(ゆるりと扇子を揺らしながら)
「あらまぁ、トールはんは頭が硬いなぁ~
知らん事を笑う理由なんて、1個しか無いやん???
………………"オモロい"からや。
いや、知らずにおる。
その姿が……ほんまに楽しゅうて、哀しゅうて
"オモロイ"んや……」
フレイヤ(沈痛な声で)
「……まるで、最初から“知る事”が
嫌な言い方だわ……」
フレイ(穏やかな声ながらも眉をひそめ)
「……確かに僕達は"黒い月"については
何も知らない……。
いや、神でありながら知らないでいる事が
おかしいんだろう………。
でもそうして知らないでいると言う事は
“
……僕は……それを“無知”と笑うのは……
意地が悪いように思います」
「せやけど、フレイはん、フレイヤはん。
世界って、ホンマに“
それってただの、“見たいモンだけを
見るようにした
イズン(静かに口を開く)
「……では質問を変えますわ、
北欧神の
神々の
……いち神としてお尋ねしますが……
“黒い月”なる存在について
それを
ナレーション
──その瞬間、笑みを浮かべていた
それは、風の止む瞬間。
神が“答えを選ぶ”までの、短くも長い沈黙。
その奥に潜むものが、ふと滲み出る。
神が“語る”と言う事は、"世界"の"カタチ"が
一つ変わると言う事。
それでもイズンはただ、まっすぐに彼女を
見つめていた。
「……えぇなぁ…アンタは賢いなぁ、イズンはん。
フレイヤ
「………それは誰かに頼まれたから
話してくれてるの???
それとも貴方の意思、どちらなの???」
「別に誰かに頼まれた訳でも、使命やないんよ。
アタシが“今”を選んだだけの話や。
で、その
……そろそろ“目覚める”………
いや、“産まれるかもしれへん"からや」
ロキ(笑みの形だけを口元に貼りつけたまま、目だけが鋭く光る)
「……ボク、その“かもしれへん”って言い方…………ほんっとに嫌いだね。
なぁんか腹立つんだよ…………。
始まりもしなけりゃ、終わりもしない"何か"が
明日の天気でも話すみたいに言いやがる……
……それもアンタにとっては
"オモロい事"なわけ???」
「フフフ……そう思ってもかまんへんが………
"黒い月"をほっといたらアンタらだけやなく、
ありとあらゆる世界の
神々、精霊、
誰一人として、タダでは済まへん。
……そしてそれは“終わり”と“始まり”の
どちらとも言えるもんなんよ。
……オーディンはんならこの意味が
分かるんやないの???」
ナレーション
意地悪く言ったその言葉が、まるで結界を張るように場の気を
神々は誰一人として声を発せず。
いや、
風さえも息を潜め、時がその瞬間だけ
沈黙したかのように思えた。
けれど、その響きはまるで【祝福】のように。
あるいは【呪い】のように。
神々の魂の
その身に
気高く不可思議な“
その微笑みは優しさの"カタチ"をしているが、
その眼差しの奥に"
あらゆる
始まりも終わりも持たぬ、名も無き"空白"。
"存在"と"不在"の
【
そして、誰もそれを
ただ、その沈黙が神々の胸の奥に重く、
深く爪を立てていた。
オーディン
「……嗚呼……知っているとも……
………嫌という程に……」
イズン
「オーディン様…………」
トール
「………
(……俺達はまたアンタに背負わせちまうのか……)
フレイヤ
(オーディン様があんな顔をするなんて……)
フレイ(神産巣日神に問いかけるように)
「……
貴女がその"黒い月”を僕らに語るというのは……
その"目覚め、生まれてくるかもしれない世界の
異変"を止める為にもう一度“ラグナレクを
起こして回避しろ”と
「ん?……嗚呼、ちゃうちゃう。
ラグナレクとはなぁんも関係ないんよ。
それにラグナレクでどうなる訳でもあらへんしなぁ。
これはな………………ただの………退屈しのぎ。
ただの暇つぶしに過ぎへんのから
語ってやっとるだけ。
仰々しい話ばっかりしとるアンタら宛の
茶飲み話にはうってつけの"オモロい
イズン
「………………え………???」
ロキ
「………………………は???」
フレイヤ
「…………………へ???」
オーディン
「なん………だと………!?!?」
フレイ
「…………ちゃ、茶飲み話…………?!?!」
【第6幕:神々の動揺と怒り】
ナレーション
神々の目が大きく見開かれ、言葉を失い、
その衝撃は静かに広がり、周囲の神々も沈黙に
包まれた。
空間を満たす一方で、場の空気は鋭く張り詰めた。
誰もがその真意を探ろうと必死だった。
まるで時間が止まったかのように、
空気は凍りつく。
しかし、そんな張り詰めた空気を破るように
トールが怒気を
響かせる。
ゆっくりと重々しく立ち上がり、
拳を強く握り締めた肩からは
雷の気配が揺らぎ、
握る手には力が
その姿は大地を震わせる嵐の前触れのようであった。
トール(低く、怒りをじわじわと滲ませ、時に叫ぶように)
「……今、暇つぶしだと……
退屈しのぎって言ったかテメェ!?!?
この神聖なる場をただの
“遊戯”と軽んじやがって!!!
俺はなぁ…………神々の誇りも、民の祈りも
その全てを暇つぶしとふざけて
ほざく奴を絶対に許さねぇタイプなんだよ!!!
テメェの目に映るこの世界はどんだけ
価値の無いモノなのか言ってみやがれ!!!」
フレイ
「お、落ち着くんだ!!!トール!!!
今
そんな事になれば
イズン
「……貴女は……
茶番劇の相手にでもしてるつもりですの!?!?」
「茶番やなんて、そんな物騒なもんとちゃうよ。
アタシにとってはどれもこれも、
ただただ愛おしゅうてならへん【娯楽】や 。
アンタらが真剣に悩んで、怒って、
それでいて、"選び続ける"……………。
その
美しゅうて、愚かしゅうて……たまらんのよ」
フレイヤ
「…………“美しい”………???
この愛と美と春を司る女神であるアタシの前で
良くもそんな風に堂々と言い切れるなんて……。
どうかしてわ………
貴女は選び続ける事が尊いと言うけれど………
それがどれほど苦しい“選択”か………
何も知りもしないまま語らないでよ!!!!」
オーディン(低く、押し殺した声で)
「辞めろ!!!!お前達!!!!
…………すまない
我が
だが……貴女は
ナレーション
オーディンの声が響いた瞬間、場の空気は
再び張りつめる。
その
そして抑えきれぬ困惑と悲しみが
神々は息を呑み、
だが当の本人はまるで全てが
【予定調和】であるかのように、
その微笑みは、温もりを
火でも氷でもない、“
もたらす波紋すらも楽しむように。
ゆるりと、けれど
言の葉を
「かまへん、かまへん。なぁんも気にもしてへんよ。
意地が悪い事を言うてしもうたなぁ、堪忍やで。
でも………オーディンはん………。
"
神の口から出た言の葉は
世界を"揺らす"モンやろ???
アンタらが真剣に聞くから"重たくなる"。
せやけどな……"重たさ"を決めるんは
ロキ(俯きながら、囁くように)
「へぇ……それをボクらに"語る"なんて………
良い根性してるじゃないか。
だけどさ、その遊びの中で"何か"が壊れたら?
ボク達、神々がもう"戻れない所"まで
行ってしまったら…… "誰がその責任を取る"と
ナレーション
ロキの
その言葉に込められた
神々の胸ね奥に潜む、誰もが言葉にしなかった
「もしも」を鮮やかに
だが
むしろその"問い"すら待ちわびていたかのように、
一つ軽く息を吐き、そっと
目元に浮かぶのは、変わらぬ笑み。
けれど
それは─────"火を
"
「……アタシは“見てる”だけ……………。
………“火を
そやからそうなったそん時は………
"アンタらが決めればええ"。
"何を守って、何を壊して、何を選ぶ"か。
アタシはただ"火種"を置いただけ………」
ロキ(深く息を吐き、皮肉めいた口調で)
「やれやれ………まったく………。
ハハッ、アンタ、最高最低な性格してるよ……!!
"火種"………ねぇ……。
それってさ、ボク達がどう動くかも……
アンタにとっては最高の
オーディン(重々しく頷き)
「……ならば我らの責務は見極める事だ。
その
「見世物とはちょいちゃうよ、言うたやん???
暇つぶしの退屈しのぎって……。
それにしても流石は"ミーミルの泉の難行"を
成し遂げたオーディンと………
"アスガルドの宴を地獄に変えた"ロキはん……。
その
口から
粋な話やなぁ……フフフ、オモロいやないけ。
良い土産話になったし、話す事は話したけ、
アタシはお先にお
ほな……………お疲れさん」
ナレーション
ふわりと
その姿はまるで風のように軽やかで、幻のように
一つも気配を残さぬまま
溶けていくように、神々の前から姿を消していった。
まるで最初から
"存在していなかった"かのように。
彼女の立ち去ったあと、神々の会議場には重たく、
深い沈黙が残された。
けれどそれは恐怖ではなく、言葉にならぬ“問い”の
─────“黒い月”は、本当に“
それとも、ただの"幻想"にすぎないのか。
しかし、神々は知っている。
神の言葉とはただの
重みを持つ。
──────“火種”と名づけられたモノは、
世界を巻き込んで燃え広がる。
そしてその時、"誰が立ち"、"誰が沈み"、
誰がその"
それはまだ誰にも分からない……………。
───────そして、舞台は静かに転じる。
【第7幕:幕間/高天原の神域・禁宮の回廊】
「ふふっ……あの顔、見たけぇ???
オーディンも、ロキも、フレイヤも、
フレイも、トールも、イズンも……
みぃーんな、一瞬、息するの忘れてたわぁ。
“黒い月”って言葉一つで、あんな顔になるんやから。
神さんも、案外よう"揺れる"……
ほんま
あれだけ表情豊かに"揺れる"神さんらの顔……
見飽きへん………フフフ……
あの子ら、知ってもうたらどうなるやろなぁ。
震えながらも、火の粉に向かって飛び込むか……
それとも………
考えたらもっとオモロい事になるなぁ………。
でぇ???
「───応答。評価:不適切。判定:否定。
入力:行動動機。
返答:
高位存在の設計目的:
我等は“
再定義:我等は
静止を
それが我等、高位存在の使命であり、
ワタシの“機能”である。」
「うーん……そらまぁ“設計”って言われたら、
アタシらはそう“組まれとる”んやろな。
………それにしても
ずっと
目線にも"揺れへん"。
せやけどな……それは神様としては美しいけんど、
誰にも触れられん“小石”と変わらしまへん。
“
アタシらただの"機械"と変わらんやろ???
アタシらは“神”や……それでも"人間"のように
時に感じる"力"も、時に迷う"心"もある…………。
ほな、何でそれを“持たされて”
生まれて来たんやろなぁ???」
「──解釈:誤認。
“
“制限された機能"である。」
「はぁん???
ほな、“笑う事”も“怒る事”も、“誰かに手ぇ伸ばす事”も……全部“誤差”かぁ…………
なんや味気のうて、つまらんなぁ。
もしそれが
全部“ノイズ”って事になる。
それが正しさや言うんやったら、
アタシは間違いでええわ。
退屈やと暇やし、全然"オモロない"からなぁ」
「──応答不能。
“
本存在:
属性:
機能:
稼働状態:静止中にして観測中。
我等は定義を読み上げるのみ、判断はしない。
命題:秩序か混沌か。
選択は
「せやなぁ。でも、“
"揺れへんと伸びん"のや。
固すぎる枝はよう折れる。
せやけど、風に揺れる
アタシはな、“壊す”んやのうて“揺らす”だけ。
あの子らが見とらん“裏側”を、
ちょいと
それにはなぁんの"保証"なんてあらへん。
だって“保証された未来”なんて、
"オモロない"やろ???」
「────評価:
未来変数:不定形。
現在の挙動:"揺らぎ"の濃度数上昇。
再定義:
“
────その“揺れ”は、
幹を裂き、根を腐らせる可能性を
警告:
「もぅ、心配性やなぁ~
…………なぁ、
アタシら、もうずっと昔から“
“
“
一体"誰"が決めたんやろな…………???
アタシらはそんなん決めた覚えはあらへんし、
何でも"
来てるんになぁ」
「────応答出力。命題構造:評価不能。
意思決定権限:
"
“
演算上の異常値として記録され、
または排除処理対象とされる。」
「…………そっか。
やっぱり、そう来るんやなぁ……。
ふふ、そんでまた“排除”かいな。
けどな、沈黙の"
"誰にも触れられへんモン"になってまう。
誰にも届かへん、寂しくて
"つまらんモン"になってまう…………。
だから、アタシは"
まだ見ぬ何かを
この世がまだ動く余地を残しとるうちに………な……」
「──────肯定。最終応答。
最終警告:挙動ログ 監視継続中。
行動ログ:収束性なし/乱数特性あり。
揺らぎ:臨界接近。
対応指令:
影響範囲:不定。保証パラメータ:0.000%
対象ID:
階層優先度:最上位ノードへ設定済。
状態:排除処理、即時 発動可能段階に移行。
────定義は"不変"。“
だから……。
そんな顔をするな、ワタシが"遊んでやる"…………」
「……………ぷ………アハハハハ!!!!!!
ビ、ビックリしたわぁ!!!!
まさか
アハハハハハハハ!!!!!!
アンタ、そうやってオモロい事を言えるんやなぁ、
あーおっかしい!!!!!」
ナレーション
笑い声が、
長く、長く、
それはまるで規律という名の
やがてその気配は風も立てずにすっと溶け、
残されたのは、ただ一つの沈黙を
「………でも………そりゃえぇなぁ………
"オモロい"やん………ええよ、
アンタと遊ぶのもそれもまた、
オモロい"揺らぎ"や………そうやと思わん?
…………なぁ、
ナレーション
それは風のない湖に、ぽたりと石が落ちるような、
春風のように柔らかく、
舞い踊る笑み。
その
光も闇も"
まだ名を持たぬ"
それら全てをまるで
冷たく甘い、"劇薬"のような香り。
────だが確かに、そこには“動き”があった。
絶対静止の
ほんの
その
一つの小さな"種"。
まだ
"鼓動"が“
そっと“
光と闇の
────────さあ、次に"揺らぐ"のは、
果たして“誰”だろうか???
その"揺らぎ"が響き渡る時、"
それは【破滅】の"前触れ"か。
あるいは、世界が【呼吸】を取り戻す"
それとも、全ての【始まり】の"口づけ"か。
─────世界はまだ、その"意味"を知らない。
【
―境界ノ座に咲ク祈リと嘘― 】
第1話 【
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