異世界転生したら童話モチーフの学園に転校することになりました。

沙水 亭

第1話 ようこそ、異世界へ!

私芦本あしもとミヤコ!今日から花の女子高生!


「うふふ〜さぁ!私のJK生活の始ま……」


ミヤコはトラックにひかれてしまった。







「………ここ、どこ?」


ミヤコは目覚めると道路ではなく花畑にいた。


「目が覚めたのね!」


すると花畑からウサギのような猫のような珍妙な生物が話しかけてきた。


「え……ウサギ?猫?」


「私は神様よ!」


「神……様?」


「そう!」


「あ、私そろそろ入学式なんで」


「意外と冷静ね!!」


「さっさと返してくれません?」


「無理ね!」


「うわ……束縛系?」


「今戻ってもここに来ちゃうから」


「なんで?」


「だって君、ぽっくり逝っちゃったから」


「え」


「トラックにドーン!そのままキュウ!」


「……えぇぇぇぇぇ!?」


「やっと自分の状況を飲み込めた?」


「え…えぇ?」


「まだかかりそうね」


数分後


「……私、死んだんだぁ……」


「流石に可哀想だから転生する?」


「そんな気軽にできるの?」


「できるよ!20歳以下限定だけどね!」


「因みに20歳以上は?」


「六文銭が必要よ!」


「あ……そう」


「で、どうする?」


「え、転生したい」


「未練とかないの?」


「ないよ?」


「あら、お母さんとかお父さんとかは?」


「両親いない」


「あら」


「ついでに友達もいない」


「……あら」


「一人暮らしだよ!」


「………可哀想にね……」


神様は涙を流した。


「ま、それは置いといて、転生ってどうなるの?元の世界?」


「いいえ、異世界ね」


「異世界!?」


ミヤコはワクワクしていた。


「どんなところ!?」


「元居た世界とはあんまり変わんないかな?」


「なんだ……てっきり剣あり魔法ありのファンタジーな世界かと……」


「その世界もあるんだけど」


「あるの!?」


「死んじゃうよ?」


「え」


「例え強力な力を持っててもみんなすぐ死んじゃうの」


「そうなんだ……」


「そんなの可哀想じゃない?」


「うん」


「と、言うわけだけど転生する?」


「する!」


「じゃあ……はい、この中から一つ選んで」


神様からタブレットを受け取った。


「これは?」


「『特徴』っていう異能、まぁ超能力みたいなのかな?」


「お〜!どれにしようかな〜」


ウキウキで見てみるが見ているうちにミヤコのテンションが下がってくる。


「あの……」


「良いのあった?」


「……魔法みたいなのは?」


「君の世界に魔法はあった?」


「なかった」


「どの世界にも規格があるの、世界に合わせた規格じゃないとダメなわけ」


「……じゃあ……この『運気』で」


「運気?1番人気ないのだよ?」


「え、ないの?」


「運気って運が良くなる……気がするって特徴なんだけど」


「なんでそんなのが入ってるのよ!」


「仕方ないじゃん!上司がハズレも入れておけって言ったんだもん!」


「……でも、まぁそれでいいや」


「ほ、本当に?」


「うん」


「じゃあ……はい」


神様が手(前足)をミヤコの額に当てると身体が一瞬光った。


「あ、本当だ運が良くなった気がする」


「じゃあ、いってらっしゃ~い」


「あ!待って!」


「なに?」


「お金とかは……」


「……………大丈夫!用意しておくね!」


「忘れてたよね!?」


「いってらっしゃ~い!!」


「ちょっとぉぉぉぉぉ!!!」


有無を言わさず異世界へ送り出されたミヤコだった。







「………っ、あれ……ここって日本?」


そこには異世界転生したとは思えないほどいつも通りの風景があった。


「……とりあえず歩いて……ん?ポケットに何か入ってる」


ポケットの中には手紙が入っていた。


「え〜っと『便利な道具をバックに入れてるので使ってください、あとお家を用意しましたので使ってください(ローンはありません)by神様より』」


手紙通り持っていたバックを漁ると見覚えのある道具が。


「……スマホじゃん」


平たい画面に初期背景の写真が写っていた。


「え〜っと、あ、なんかメッセージ届いてる」


【ここにお家があります】


「ご丁寧に衛星写真で」


衛星写真の家まで歩いて行く。





家まではそこまで遠くなくあっという間に着いてしまった。


「おお、前世で住んでた家より立派」


ごく一般的な家であった。


「じゃあさっそく……って鍵は?」


バックをアレヤコレヤと漁ると鍵が入っていた。


「お、開いた開いた」


必要最低限の日用品と家電、そしてテーブルの上に膨らんだ封筒が置いてあった。


「なんだろう……はえ?」


封筒を開けると人生で見たことないような大金が入っていた。


「は?え?えぇ!?」


ざっと500万、女子高生が持っていい大金ではない。


「おお……いや!これは慎重に使わねば!」


するとチャイムが鳴った。


「ひう!」


可愛らしい悲鳴を上げ、恐る恐る玄関へ。


「は、は〜い……って猫?」


可愛らしい猫が玄関前に立っていた、二足歩行で。


「君がミヤコ君だね」


「しゃ、喋った!?」


「この世界では猫が喋ることは珍しくない」


「き、君は誰?」


「私はメーテル、君が入学する予定の校長だよ」


「校長!?猫が!?」


「そうとも、こう見えて私は20歳、老猫さ」


「た、たしかに猫年齢からしたら老猫ですけど……」


「君の保護者兼送り主から連絡があってね」


(神様かな)


「『その子入学前に死んじゃったらしいからそっちの学校に入学させてあげて』とのこと」


「それで……私は入学できるんですか?」


「また明日簡単なテストを行うために学校に来てもらう、安心したまえ今は夏休み、学生はみなエンジョイして学校には来ない」


「は、はぁ……」


「あと入学金に関しては心配ない、その保護者から貰ってるからね」


(ありがとう!神様!!)


「因みに授業料もだ」


(神様マジ神様!!)


「制服代は出してもらうよ」


(……ま、まぁ制服代なら)


「因みに制服代は幾らで?」


「う〜ん、君のスタイル的には1万円かな」


「やっす!!」


「安いかい?」


「めちゃくちゃ安いです!」


「ふむ、君のいたところはとても物価が高いんだね」


「とてもとても、制服代だけでもうん10万はしますね」


「それは辛かったな、安心したまえ、入学できれば花の女子高生だ」


「やった!!」


「ではまた明日、今日はゆっくり休みたまえ」


「はい!あ、明日は何時に行けばいいですか!?」


「10:00で大丈夫、それと学校は『ピポラ高校』だ」


(独特な名前!)


「では」


「はい!」






「さ、探索探索〜」


元気いっぱいに部屋を探索する。


「……何もない」


そりゃあそうである。


「とりあえず買い物かな、冷蔵庫の中身何もないし」


デパートに向かうことにした。





「おお……ここがデパート」


制服姿で昼間のデパートへ。


「う〜ん、なんか服欲しいな」


「君どこの校の娘?」


突然背後から話しかけられた。


「ピエッ!!」


「わ、ご、ごめん!驚かすつもりはなかったの!」


「え〜っと」


振り返ってみるとそこには黒い髪に赤いカチューシャが特徴の女の娘が。


私布月赤ふづき あかピポラ高校の1年生よ」


「あ、ピポラ高校の」


「あなたは?」


「わ、私は……」

(転生したって言っても信じてもらえないだろうし……よし)


「転校生なの!」


「転校生?」


「そう!明日ピポラ高校にテストをしに」


「え、夏休みなのに?」


「そ、そうなの!メーテル校長に呼ばれてて!」


「メーテル校長先生に?」


「そう!」


「そうなんだ!」


「そうなの!」

(よかった〜、なんとかなりそう!)


「転校生なんだよね?」


「うん!」


「この街に来るのも初めてでしょ?」


「そうなの」


「じゃあ案内するね!」


「あ、ありがとう!」


「じゃあ出〜発!」





「ここが服屋さんだよ」


「おお、可愛い」

(店員さんみんな犬だ)


「う〜ん、これとか似合いそう!」


赤色のワンピースを持ってきた。


「可愛いね、でも私もうちょっと薄めの色が良いかな」


「じゃあ〜……これ!」


白シャツにジーパン。


「あ、結構好きかも」


「お!良いね!じゃあ試着!」





「……ど、どう?」


「めっちゃ良い!モデルさん?」


「そこまでスタイルは良くないよ?」


「いやいや、スタイル良いよ!」


「赤ちゃんの方が良いよ!」


「転校生ちゃんの方が」


「あ、そういえば名前忘れてた、

私、芦本 ミヤコよろしくね」


「ミヤコちゃんね、よろしく!」


ミヤコは友人を手に入れた。


「あと2、3着は欲しいかな」


「じゃあ……」





「ふふ、楽しいな〜」


「うん、私初めて他の人とお買い物できた」


「え、そうなの?」


「うん、私、両親はいないし友達もいなかったから」


「……ミヤコちゃん!」


「わっ!」


赤がミヤコに抱きついて抱きしめた。


「大丈夫だよ!」


「ふふ、ありがとう赤ちゃん」


「ミヤコちゃん、もしかして一人暮らし?」


「うん」


「そうなんだ、大変だね」


「ん〜、でもそんな事ないかな、慣れてるし」


「……そうなんだ」


「あ、食材買いに行かなきゃ」


「案内するよ!」







「ここがデパートの食材コーナ!」


「おお〜広い!」


「この街で1番広いの!」


「しかも安い」

(卵1パック120円はヤバくない?)


「でしょ?」


「買いすぎちゃうかも」


「買いすぎには注意だね」


「え〜っと、じゃあ……」


その後買い物を済ませ、両手に買い物袋を下げて帰宅することに。




「ありがとうね、手伝ってもらって」


「気にしないで!私力持ちだから!」


ふん、と筋肉を見せつける。


「ここが私のお家」


「わ〜、凄いねここを一人で?」


「そうなの、上がって」


「お邪魔しま〜す」






「え〜っと冷凍食品は冷凍庫に……」


赤と協力して冷凍庫に買った物を詰めていく、空っぽだった冷凍庫はあっという間に一杯になった。


「壮観だね」


「結構買ったね」


「うん」


「あ!私そろそろ帰らなきゃ!」


「そうなの?」


「うん!連絡先交換しよ?」


「ど、どうやるの?」


「これを……こうして……はい!」


「わ、凄い!」


ミヤコは初の連絡先をゲットした。


「じゃあね!」


「うん!」

(良い子だな〜赤ちゃん)


ミヤコの異世界学園生活が始まった。

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