灰塵~学生失格の僕が、自殺という単純な結末に向かうまで~
幻霞空 氷澄(げんかく りす)
第1話 テスト
僕は、テストの解答用紙を机の中でくしゃくしゃに丸めた。そして、机の奥に突っ込んだ。
先生は相変わらず、滑らかに解説を続けている。
その音声を自分に取り込むまいと、耳を塞いで机に突っ伏した。頭上を飛び回る情報を、僕は拒絶した。
解説が終わったらしく、みんながテストをしまい、教科書とノートを開き始めた。
僕は、机の奥から解答用紙を手前に引っ張り、皺を少し伸ばした。そうすると、逃れようのない事実が突きつけられた。
先生のふにゃっとした字で書かれた16点。それが僕の点数だった。
テストを上下逆さまにしてみると、91点に見えなくもない。僕がそんな点数をとったことはないし、これからもとらないだろう。
そもそも、平均超えなんて夢のまた夢。というか、そんな儚い夢を唱える方が馬鹿々々しい。今日返されたこのテストだって平均は80点くらいだった。
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