超能力者、異世界に転生し最強へ~大切なご主人様の野望(世界統一)を《叡智なる半全能》で叶えます!!~

冥焉

本編

第1話 プロローグ

──この世界に、全知全能の神などいなかった。

それは、ただの信仰の形。誰かの願い。あるいは恐れ。

だが――この日、この瞬間、エルトリア大陸に“唯一の全”が誕生する。



かつての世界。

天城 静(あまぎ しずか)は、人類の兵器として生きた。

超能力実験により生まれた、制御不能の戦略兵器。少女の姿をしていても、その内側は破壊と孤独に満ちていた。

「戦場を終わらせろ」「神を模倣せよ」と命じられ、ただ命令通りに力を行使する日々。

そして、最後の作戦で、静は消えた。

――命令に従っただけの、終わり。

それは安らぎでも、救いでもなかった。



「目を覚まして、我がしもべ。私の夢を叶えて」


まぶしい魔法陣の光の中で、静は目を覚ました。

肌寒い石床。魔法陣の中心に立つ、小さな少女――白銀の髪、紅い瞳。幼く見えて、威厳を宿すその姿。


「……ここは、どこ……?」


「ここは〈エルトリア〉。私はレティア=ヴァルグレイス。世界を征服する者」

「そしてあなたは、私のもの。あなたの力を、私に捧げなさい」


静の内側に眠る“力”が震えた。

この世界において、自分の存在は“兵器”ではなく、“忠義を誓う者”なのだと。

命令ではない。契約でもない。

これは……**「誓い」**だ。


「私の名は天城静。前の世界で神の真似事をしていた者」

「この命、この力、すべて――あなたの夢のために捧げます。ご主人様」


その瞬間、契約は結ばれた。

神々さえ脅かす唯一無二の力、《叡智なる半全能(セミ・オムニポテンス)》が世界に刻まれる。

そして、世界の運命が音を立てて軋み始めた――。

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