この物語の舞台は、異能力を持つ人がごく少数存在する世界。
主人公、陽翠の能力は『奇跡を起こす』こと。
その異能を込めた石を、彼女の両親は高値で売った。
彼女の異能の代償は、『痛み』。
自傷の痛みで、奇跡を起こす。
傷付けば、褒めてもらえる。笑っていてくれる。
そんな思いで、カッターナイフを己に向ける陽翠。
そんな彼女の過去は、『嫌われ者の学校』、国立異能者養成学校へ行っても、夢としてまとわりついた。
嫌われ者の嫌われ者、一番強い異能を持つ『黒の異能者』である陽翠。
彼女は、同じ黒の異能者の先輩や、同級生の友達を得て、過去に苦しみながらも笑える時間を増やしていく。
小さな事件を経たり、異能者だからこそ抱えてしまう暗闇に触れたり、誰かの言葉で救われたり。
そんな毎日を過ごしながら、陽翠はこんな時間が続けば良いと思えるようになる。
平穏な学校の中で彼女に忍び寄る、粘るような甘い闇。
次々起こる謎の連続『自傷』事件。
陽翠の過去に抵触しながら、闇は濃度を増していく。
『次は、君だ』
あなたにとって、『幸せ』とは何でしょうか。
家族といる事? 思う存分趣味ができる事?
あなたは、その『幸せ』をいつ得ましたか? どうやって得ましたか? いつそれが『幸せ』だと自覚出来ましたか?
『 』にとって『幸せ』とは必要なもの。……だから、全部、仕方ない。
本当に、仕方なかったんだ。