クラゲと流星群

京極道真  

第1話 星ゾラからクラゲ

夏休みまであと1週間。

学校は期末テストの真っ最中。

テスト勉強も飽きた。目が痛い。手も痛い。

「はーあ。」机からカラダを離した。

ギコギコと鳴るイスをのけぞって、

わざと倒してみる。

「やめた。」

このまま、本気でのけぞったら床に倒れてしまう。

狭い僕の部屋。壁と床に挟まれて抜け出せなくなる。

携帯を見た。21:51。

「休憩だ。」

僕はペンをノートから離した。

コロコロコロ。ペンが机の上で転がる。

喉がかわいたな。

風呂は入ったし。風呂上がりの飲みかけの

ペットボトルが机の上に。

「ごくん。ぬるっ。」

冷たいものが飲みたい。

僕は台所へ。

同じく風呂上がりの兄貴と冷蔵庫で。

「サボテン。」と兄貴は僕に炭酸ジュースをとって渡した。

「サンキュウ。」

兄貴も炭酸ジュースを手に取る。

「シュワーッ。」蓋を開けると透明の泡が上がってくる。

上がって来る泡より早く、口をつけて一気に飲む。

「シュワッ。ゲポ。」気持ちいい。

目が覚める。

兄貴もこぼれる泡より早く。

一気にゴクゴク飲んでいる。

兄貴も「ゲポ。」

「サボテン。期末テストどうだ?」

「まあまあ。あと2日で終わる。でもさ。

明日の古典の勉強、頭に全然入らなくてさ。

息抜き。」

「そっか。」

「兄貴は大学、テストないんだろう。

いいな。」

「ばーか、サボテン。一応はあるぞ。

まあ、高校の期末テストに比べたら楽勝だ。」

「いいよなあー。早く大学生になりたいよ。」

「そっか。早く来い。サボテン。しかし、まずは期末だな。がんばれー。ははは。」

兄貴はタオルと炭酸ジュースを手に自分の部屋に行った。

3つ上の兄貴は僕と違って優秀だ。

中学、高校と成績は常にトップ。

僕にとって自慢の兄貴だ。

それに比べ僕は・・・「よし。もう少し勉強するか。」僕は残りのジュースを一気に飲み、

部屋に戻る。

机の上の転がったペンが携帯の角で止まっている。

ペンじゃなく僕は携帯をとった。

トップページ。

『7月31日みずがめ座デルタの流星群』記事が目に留まる。

僕は小さい時から星空が好きだった。

小学生の時には夏休みはよくプラネタリュームによく通った。

楽しかったな。そういえば最近は星ゾラさえ見上げたことなかったな。

クーラーの効いた部屋。窓を開けた。

モワっとなまぬるい夜風が部屋に入って来る。

体感が変わる。窓から顔を出して星ゾラを見あげた。

うっすら月が見える。目を凝らす。星が見えた。

「あー、流れ星。」

嘘だろう。見ちゃった。

いつ振りだろう。やったあー。嬉しくてたまらない。

この感覚。僕は窓から顔を引っ込めた。

流れ星が見えた。ラッキーだ。

脳にすーっと電流が流れた。

『すべてうまくいく気がした。』

もう少しテスト勉強しようかな。

机に目をやる。

「えっ?クラゲ!」

机の上にクラゲが座っている。

クラゲが話しだす。

「俺様を呼んだのはお前か。」

「えっ?僕が?」

「お前が呼んだから他の流星群より1週間も

早く。フライングで流れ星で来たんだぞ。

俺様に何のようだ。少年。」

『これは?夢なのか?』


























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