私は金魚

 私は金魚。

 少女に飼われてる金魚。

 金魚すくいで掬われたのは内緒。

 エサを食べるだけの魚生だと思っていた。

 でも、少女が話しかけてきた。

「魚太郎はなんで生きてるの?」

「辛くないの?」

「苦しくないの?」

「たのしいの?」

「私もそっちで泳ぎたいな。」

 私はその目を見つめていた。

 光が反射していてきらきらしてる目を。

 世界の見え方が全く想像できない目を。

 暗いようで、明るいその目を。

 私は見ていた。

 空気をだして合図をしてみるが、伝わらないだろうな。

 辛くないよ。

 苦しくないよ。

 たのしくはないけど、君が来ればたのしくなると思う。

 待ってるから。

 私、待ってるから。

 でも、まだいいんじゃないかな?

 だって、まだミサンガは切れてないんでしょ?

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