1-2

門が閉まる5秒前に学校へ滑り込み、席に着くと同時にチャイムが鳴った。ギリギリセーフみたいだ。

なお俺も光莉も麗華も同じ2-Dクラスである。


「っぶねー!いい加減ギリギリで着くの辞めたいぜまったく」

「ゆうちゃん走るの早いから付いてくの大変だよ〜」

「人はご飯を食べてすぐに走ってはいけませんわ...」

「それはお前たちが早く起きれば解決するんだよ!」


なお席は俺が窓際の後ろから2番目、光莉が右隣、麗華ぎ俺の後ろだ。中々に良いポジションで気に入っている。


俺たちが息を整えていると、斜め右後ろ(麗華の右隣り)から呆れたような声が返ってくる。


「君たちは毎回絶妙なタイミングで滑り込んで来るね...」

「お、真斗じゃん。ちっす」

「成瀬くんおはよ〜」

「おはようですわ」

「相変わらず仲良いね。朝から睦み合ってたのかい?」

「残念ながらそれは夕方以降だ。朝はそんな暇が無い」

「だろうね。刺されれば良いのに」

「妬むぐらいなら喧嘩売って来いってんだ。俺様はいつでも買うぜ」

「ゆうちゃんダメだよ〜。また先生に怒られちゃうよ?」

「正当防衛だ」

「その割には毎回エゲツないですわよ...」

「あの時は相手が集団で来たのが悪い。俺たちは悪く無い」

「血の気多いよね...君たち」


俺たちと話しているメガネを掛けた男は、成瀬 真斗。一年生以来の友人だ。切れ目の割に性格は優しい。

なお隣のクラスに好きな子がいるらしい。可愛い奴め。


「なんか失礼な事を考えなかったかい?」

「気のせいだ。それよりそろそろ担任が来るぜ」

「お前らおはよう!席に着け〜」


そんな事を言っていたら、担任の中山 小鞠が教室に入ってきた。黒髪セミロング、身長は150cmとちっちゃい。マスコットかな?


「おう火向、今失礼な事を考えてたよな?」

「気のせいですせんせー」

「ふん。遅刻はしていないか。出席取るぞー」


危なかった。なんで俺の周りには心を読める能力者が多いんだ。まったく。


ちなみにこの世界では、能力タレントという不思議な力を1つ、人は持って生まれてくる。

有り体に言えば超能力みたいなものだ。


人によって能力の強さは異なり、レベル1から5までの5段階に分類される。

大抵は強くても3止まりだが、稀に強い力を持った子が出てくる。


「そうだ、進級初日のお前たちに1つ朗報だ。なんと転校生が来る」

「それは女の子ですか??」

「美少女だ。蒼髪ロングの」

「「おおーっ!」」


男子連中が色めき立つ。俺もだ。


「ゆうちゃん?」

「ユウ?」

「痛いですつねらないで下さい」


早速右隣と後ろからつねられた。痛い。


「せんせー!じゃあ紹介タイムですか?」

「残念だが、転校生が入るのはAクラスだ」

「「ええーっ!!」」


途端に残念な声。しかしAクラスか。てことは...


「せんせー、彼女はレベル4ですか?」

「聞いて驚け、なんと5らしい」

「マジか!」


スーパーエリート様だった。レベル5なんて将来が約束されているような物ではないか。


「まあこの話はここで終わりだ。お前らの生活は変わらん。HR始めるぞー」

「「はーい」」


そんなこんなで、2年目の初日が始まった。

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