転生するのはやめて、ここで女神様と暮らします。

海猫ほたる

#1 女神の部屋

〈効果音〉

もそもそ……と厚めの布が擦れる音


「……あ、目が覚めた?」


〈効果音〉

もそもそ……と厚めの布が擦れる音


「もう、起きて大丈夫なんだね……良かった。ちゃんと実体化できてるよ……君の姿、君の姿、元の世界にいた時の姿を再現したんだよ……ここはどこかって?……あ、そうだよね。状況、よくわかってないよね……君は今、女神の部屋にいるんだよ」


「私、女神シルキィ……君は、元の世界で死んでしまったんだよ。そしてここにやって来たの。死んだ人は全員ここに来れるわけじゃないんだ……前世でちゃんと良い行いをした人だけが、ここにくるんだよ……あ!そうだ!」


〈効果音〉

女神が急に椅子から立ち上がる音


「コーヒー作ったんだ。一緒に飲もうよ……話はコーヒーを飲みながらしよっか。なにしろ、時間はいくらでもあるからね!」


〈効果音〉

ぱたぱたと遠のいて行く足音。

かちゃりと陶器の食器が触れ合う音。

こぽこぽ……と食器に注がれるコーヒーの音。

かちゃ……と金属製のスプーンが食器に置かれる音。

ぱたぱたとこちらに向かう足音。


「お待たせ。熱々のコーヒーを淹れたから、こっちのテーブルに置くね。」


〈効果音〉

かちゃりと陶器の食器が触れ合う音


「このテーブルクロスの柄は私の好みだよ。このうさぎさんの柄、可愛いでしょ。角砂糖はこっちの小瓶、ミルクはこっちの小瓶に入ってるから、好きな使ってね」


〈効果音〉

ずず……と椅子を引く音


「さ、君はこちらに座って、コーヒーを飲みながら私と話をしようよ」


〈効果音〉

かた……とテーブルからコーヒーのカップを持ち上げる音

ずず……とコーヒーを飲む音


「君はね、元の世界でコンビニに行ったら、そこに偶然、銀行強盗がやってきたんだよ。そして、たまたま強盗に襲われた店員さんを庇って、君は刺されてしまったの。その刺された傷が原因で、君は死んじゃったんだよ。あ、そうそう、安心して。店員さんは傷一つなくて無事だから。君のおかげでね。それに、犯人はちゃんと捕まったから……あ、そうだ、スコーンも焼いたんだ。ちょっと待ってて……」


〈効果音〉

ぱたぱたと遠のいて行く足音

かちゃりと陶器の食器が触れ合う音

ぱたぱたと近づいてくる足音

かた……とテーブルにスコーンの皿を置く音


「君はこれから、私の力で、好きな異世界に転生する事ができるんだ。私は女神だからね。異能だって与える事ができるんだよ。どの世界に転生したいか、それとどんなスキルを与えられたいのか、ゆっくり考えて良いからね」


〈演技〉

女神が耳元で囁く様にウィスパー


「でも、君が良かったらだけど……ずっと……ここに居ても良いんだよ……ここで私と暮らすのなんて……どうかな?」

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