Neet In The Another World ~異世界にニートがやって来た!~(仮)

生虎

第1話

僕は高校時代に酷いイジメにあい登校拒否となり、そのまま家に引き籠る様になった。

イジメていた者たちのリーダー格の者の親がそれなりの立場の権力者だった為、イジメ自体を握り潰された。

有名進学校でもあり、学校側も不祥事がマスコミ等にバレ、叩かれる事などを恐れ

、率先的・協力的に揉み消しに関わり、僕は被害者にも関わらず、何の補償等も受けることもなく退学とされた。

僕が退学になったと気が付いた時には、入学した事実すら消されていたのであるから、権力者の持つ力と言うのは絶大なものなのだと知る切っ掛けとなった。

入学すらしていないこととされた僕はイジメ自体を受けた事実は無い事とされた。

酷いイジメだったにもかかわらず、加害者たちはお咎め無しで、高校生活を満喫し、卒業して行ったと風の噂で聞いた。

世の中の残酷で理不尽な現実に悲観して家に引き籠って日々過ごしていたある日、父母も交通事故でこの世を去り、僕は天涯孤独の身となる。

両親の保険金で莫大な保険金が手元に入って来たが、ただ虚しいだけだ。

そんな中、今まで会ったことも無い親戚を名乗る者たちがワラワラと現れ、すり寄って来た。

恐らく、両親の保険金目当てだったと思う。

その頃の僕はと言うと高校も退学となっていたが、何とか通信教育で高校卒業の資格を得て大学も通信制の大学に入り、今、在校している。

気が付けば、二十歳の誕生日を迎え、立派なニートになっていた。

いや、寄生先が無いのであるから、ニートと呼べるかは疑問であるが・・・

そして、昔は成人式と呼ばれ、現在では『二十歳の集い』とか何とかいうらしいが、そんな集いに参加すればあの忌まわしき者たちに会う事になる。

だから僕は参加しなかった。

しかし、会いたくなかった彼・彼女たちにまた会う事となる。


「ん?お前、たけだよな?」

「あ~面影残ってる~」

「マジ?あの竹なのか?」

「相変らず地味ね~」


日用品の買い出しに町に繰り出し、近くのスーパーを目指していると、二十歳の集いに参加したであろうスーツ姿と晴れ着姿の集団に出くわす。

嫌な顔だ。

思い出したくもない唾棄すべき連中は過去に何事も無かった様に僕に話し掛けて来た。

しかし、関わりたくないので無視一択だ。


「おい!無視すんなよ!」

「うわ~無視とか大人のやる事じゃないよね~」


もう関わりたくないが一人に腕を掴まれてしまい、逃げることも難しくなってしまった。

しかし、僕も成長したのだ。

通信教育で学んだ合気術で掴まれた腕を振り解く。


「お!生意気に何か武道でもやってるのか?」

「マジ?うわ~復讐?キショ!」


エイリアン共が騒ぐが煩わしくて仕方がない。

僕は意思疎通出来ない蛮族たちと離れようと試みている時、気になる一言を耳にする。


「お前の様な奴が子供だから殺されるんだよ」


僕はその言葉を聞き、振り返るとリーダー格だった者のニヤニヤ顔が

目に移った。


「おい!どういうことだ?」


僕はそのリーダー格の男に掴みかかろうとして、その取り巻きに殴られる。

しかし、そんな事を構っていられない。


「ここじゃ拙いって!」

「そうだよ~あそこの裏なら良いんじゃない?」

「賛成~連れて行こう!」


そして、街の死角となる薄暗いビルとビルの間に無理やりに連れ込まれることとなる。

だが、こちらとしても先程の言葉の意味を問いただしたいので好都合であったので、

流れに任せてこの場に自分の意志で来たのだ。


「何?此奴、裕司ゆうじの事睨んで、生意気~」

「おいおい、元イジメられっ子が俺に敵うとでも?」

「いや、いや、ここは俺様の出番しょ!」

「早くやっちゃおうよ!この後はカラオケ行くんでしょ?」

「そうだぜ~早く始末しちゃおうぜ」

「生ごみは処分しないとね~」


思い思いに言葉を述べ、僕を不快にさせるが、今はそれより重要な事がある。

僕は先程気になる発言したこのグループのリーダである、平沼ひらぬま裕司

《ゆうじ》に問う。


「僕が子供だから殺されたって言ったな?」


その言葉を聞いてもへらへら顔で僕を馬鹿にした様な態度を崩さず、平沼は言う。


「え?何?聞こえな~い」


それを聞いた連中も僕を馬鹿にしたように下卑た笑いで僕を下に見た様な態度を崩さない。

そして、その時、足元がに光が溢れ、そこに居る者たち全てを包む。

僕は眩しくて目を開けていられず、その場に立ち尽くしてしまった。


「ようこそ勇者様方、歓迎いたしますわ」


光が落ち着くと、見知らぬ場所に居た。

そして、豪華なドレス姿の女性が歓迎の言葉を述べてきた。

更に、周りを囲む様に鎧姿の者やローブ姿の者が居り、僕たちを取り囲んでいた。

あまりの事に固まっていると、グループの一人が喜色満面の笑みで叫ぶ。


「来たーー!!異世界召喚、来たーー!!」


どうやら僕は異世界召喚されたか、巻き込まれたようだ。

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