第2話 日常
3年前……
「永夢!一!朝よ、早く起きなさい!」
下の階から僕らを呼ぶ母親の声で目が覚めた、重い体を起こし、階段を降りる。
「ほら、歯磨きして、ちゃっちゃっと朝ごはん食べちゃいなさい」
「はーい」
顔を洗い、歯磨きを終え、食卓に座りテレビをつける。
ピッ
「次のニュースです。昨夜十一時頃、政治家の近衛 優作(このえ ゆうさく)先生が遺体で発見されました。ご遺体には大きな刀傷があり、防犯カメラには首筋に〈W〉の文字がある人物が映っており、警視庁は、1週間前の九条 貴彦(くじょう たかひこ)さんとの事件との関連性を調べています」
「〈W〉の能力かいな、最近多いな。兄貴、あんたと一緒やな」
「ああ、まったく風評被害も良いところだよ」
朝ごはんを食べ終え、慣れない制服を着て、父親に慣れないネクタイを締めて貰った。
「ほら、気お着けて行けよ」
「ほーい、行って来ます」
小学生の時とは違う通学路を歩き、バスに乗る。
シュー
バスに乗り込むと、窓側の席を陣取り、外の風景をただ眺める。
入学式からは1週間程経って、少しずつ新しい環境になれ始めていた。
教室に入ると、早速一人の生徒に話しかけられた。
「お!永夢、今朝のニュース見たか?」
「うん、見たけどどうかした?」
「アレ、お前が犯人だろー」
「?(めんどくせぇー)」
この生徒の名前は九条 光輝(くじょう こうき)有名政治家の跡取り息子で、性格がとてつもなく悪く、取り巻きとつるんでよく悪さをする、しかし、その悪事が表に出る事は無い。
「俺が成敗してやるよ、オラッ!」
ドンッ
「クッ」
いきなりフルスイングで腹パンされた。
「ハハッ、見ろよ九条さんのパンチ一発で沈んだぜコイツ、だっせー」
「あはは、光輝くんは強いなー(クソガキがぁ、あんまり調子乗るなよ)」
「はぁ?馴れ馴れしく呼ぶんじゃねぇよ!」
ドンッ
「ウッ」
当時の僕は身長が160cmで、光輝の奴は170cmもあったんだ、体格がかなりあったから、かなりキツかったのを覚えている。
クラスの皆は彼に手を焼いていた、仲良くするのにしても、どこか気に食わないし、先生の前では猫を被る、その上奴は誰でもいじめる。ソレに親がとても厄介だ、何か不祥事を起こしても、すぐに無かった事にされる、というか、一部の人の記憶から消される。だから誰も止めに入らない、でも後から助けてくれる、誰も彼と関わりたくない。彼さえ居なければ恐らくクラスはもっと良くなっていたと思う。
しばらくすると、九条は飽きたのか、どこかに行った。すると、元晴が近づいて来た。
「永夢、大丈夫か?」
「あぁ、大丈夫だ。その気になれば、あんなパンチ、簡単に避けれるわ」
「ハハッ、お前、目は人一倍いいからな」
キーンコーンカーンコーン
ホームルームのチャイムが鳴った。席に着くと同時に、先生が教室に入って来た。
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