言葉が脳裏に焼き付く怪談

物語を視覚的に楽しむといえば、目で読むのだから当たり前なのですが、そう言葉にするのが相応しい怪談というふうに感じました。

象徴的に描写される凌霄花の燃えるような赤など、描写が鮮明で生々しく風景が浮かぶようであることが一つ。
また、物語に意図的につくられた空白によって、すうっと目が寄せられて、視覚的に読みやすいということと同時に空白に何か意味を見いだしてしまう不思議な魅力がありました。

非常に巧みな組み上げられた文によって、主人公の思考を自分が追体験しているように感じられ、彼が見たものがそのまま自分の頭に焼き付き、不思議な心地に落ちる魅力的な怪談でした。

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