第3話「運命を変えるのは修学旅行…!?」
棺にはあの日、みんなで撮った写真が入れてあった。
それを見て、俺は少しずつなら変わる
そう、確信した。
「大智、そろそろ次いくよ?」
「ごめん」
「大智の運命を変える場面、次はどこだろね」
「わかんない全く覚えてないや」
「まぁ大丈夫行けば思い出すよ!行ってみようよ!」
ダウは指をパチンと鳴らした。
「大智起きて!大智!」
目を覚ましても全く思い出せない
ここ、どこだ
「ほんと、人んちに来てまで寝るかね」
優依の家だ!いつだ、思い出せない。
「ゲームするからお前ん家行くわって言っといてゲーム一回もせず寝るかね?」
「あ、ごめん」
「別にいいけどさ、映画見てるし」
「なにこれ?」
「ぼく明日」
「ふーん」
「私さ、ここ行ってみたいんだよね」
優依は、テレビに写った場所を指さして言った。
「なにここ?」
「ぼく明日で出てくるんだけどさ伏見稲荷って言って千本鳥居っていう鳥居がぶわーって続いてる場所が京都にあんの」
「ふーん、綺麗だね」
「でしょ!京都だからそろそろ行けるかな!って!」
「え?あ!修学旅行か!」
「何、まさか忘れてたの?」
中学の修学旅行前に飛ばされた…?てことは修学旅行で運命が変わる何かが起こる。
何を失敗したんだろう…
次の日の学校、授業では修学旅行の準備をしていた。
担任の八十島が自分の授業の時間を使い、班決めをしろと言った。
「大智ー、班なろうぜ」ともう当然と言った感じで和哉が言ってきた
「いいよ」
「他は誰にする?」
「誰でもいいよ」
そこへ、香織と佳奈がやってきた
「どこの班にするか決まった?」
「いや、別に」
「私達も入っていい?」
「いいよ」
優依の方をちらっと見ると別のグループで楽しそうに話してる。
あ、そうだった。
修学旅行同じ班じゃなかったんだよな
「班の自主研修で行く場所決めとけよー」と八十島がみんなに聞こえるように言った
「大智、班決まった?」
「うん、決まったよ」
「そっか、あのさ…えっと…」
「なに?」
「やっぱなんもない!楽しみだね!」
「超楽しみ」
「だね…」
なんだか、優依は寂しげな表情をしていた。
俺はもう、失敗してんのか?どこで間違ったんだ—
「大智、今日たっくんの所寄ってく?」
「あ、いいね」
たっくんとは和也の親戚のおじさんで
俺らが大体毎日学校帰りによってた夜はBARをしている
カフェのオーナー。
俺らをずっと面倒見てくれてた
ちなみに、優依の通夜の会場にもいた。
「わたしたちもいく!」と優依、香織、佳奈が言ってきた。
俺らは5人で放課後たっくんの店に行った。
「よぉ!たっくん!」
「お!お前ら久々だな!」
「1週間後の修学旅行の準備で忙しいの」
香織と佳奈がそれぐらいも知らないかと言わんばかりに呆れながら言った。
「なるほどな!お!そういや!優依!お前が言ってた映画見たぞ!あれいい話だな!」
「でしょ!めっちゃいいでしょ!」
「最高だった!」
そうか、この頃には優依もたっくんと馴染んでたんだな
2時間ぐらい話して、俺らは帰った。
帰り道、俺は優依と2人になった
「あのさ、大智…」
「ん?」
「あ…いややっぱなんもない!」
「なんだよ」
「なんもないって!じゃあね!」
俺は部屋で一人、これから起きる何が失敗なのかを考えることしか出来なかった。
一体何が優依を悩ませてるんだろ…
次の日、八十島が
「おい!お前ら班は決めたか!早いうちに自主研修で行く場所も決めろよ!」
「俺らは、映画村と銀閣でいいだろ?」
「うん」
「どこでもいいよこのメンバーなら楽しそうだし」
「大智は?」
「あぁ…俺も別に…」
間に合わない、このままじゃ戻ってきた意味が無い
優依の失敗なんなんだよ一体
優依が修学旅行でしたこと…思い出せ…
俺らの班とは違って金閣と清水寺に行って
そこで何かあったんだっけ…
でもあいつは金閣と清水でも楽しんでたんじゃ—
あ!わかった!戻せる!
「ねぇ!みんなごめん!俺一人班員増やしたい!」
「え!?誰?」
「えーもう変更とか間に合わないんじゃない?」
女子二人がこう言ってきた、ただ一人黙って
「いいよ。ずっと俺もあいつがいねぇと思ってたんだよ」と和哉が言ってくれた。
俺は急いで優依の班へ行った
「ごめん!みんな俺らの班に優依貰っていい!?」
「え?急になんで?」
「この班、金閣と清水寺でしょ?」
「そうだけど、なんで知ってんの?」
「あーえっと、雰囲気?」
「別に私たちはいいけど、優依に聞かないと」
「優依には俺が聞くから!」
あとは、優依の元へ急ぐだけ
「優依!」
「何?あんた急に」
「お前うちの班にこい!」
「え…?いや今更いいの…?」
「うん!やっと気づいたんだよ!」
「なにに?」
「あ、えっと、ううん!なんでもない!」
俺と優依は自分の班のメンバーを集めた
「あ、追加メンバーって優依か!賛成!」
「私も!!なんで居なかったのって感じ!」
女子二人も賛成してくれた
でも本当はこれが運命を変える選択じゃない
本当の俺の失敗は…
「ねぇ!みんな!俺行きたいところあんだよ!」
「もうだから早いうちに言ってって言ったじゃん映画村と銀閣で決まったのに!」
「ごめん!俺、伏見稲荷行きたい!」
「え……」
優依がこっちを向いて驚いていた—
ごめん、気づいてやれなくて
優依はあの頃からヒントくれてたんだ
伏見稲荷、千本鳥居に行きたい
ぼく明日がヒントをくれてたんだ
「とにかく、伏見稲荷に行きたい!」
「珍しいね、大智がそこまで自分の意見言うの」
「確かにな、それどんなとこなの?」
「千本鳥居って言って、鳥居がぶわーって並んでて超綺麗なんだ!」
「そうなんだ!行ってみたい!」
「俺も行ってみたい」
「私も!!」
みんなを説得してる中、俺は確認をした。
「優依は?行きたくない?」
「……ううん、超行きたい!」と言った優依の目は少し涙が溜まっていたように感じた。
そして、修学旅行当日
前は一緒に行けなかった自主研修もずっと二人で笑顔でまわった。
「ねぇ!大智!これ、買おうよ!」
「なにこれ?」
「ハートのキーホルダーらしい、片方ずつ持っとこうよ!」
「はぁ何それ?w まぁいいよ」
「やったぁ!」
優依が楽しめてよかった
「大智、写真撮ろ!ぼく明日っぽく」
「うん」
「あ、面白かったでしょ?ぼく明日」
「うん、最高だった」
「ほらね!じゃ写真撮るよ!」
セルフタイマーの3秒が切れる直前で大きな声で雷の音が聞こえた。
「おかえり」
未来を変えれたつもりだったけどこれまで通り通夜は執り行われていた
俺は急いで優依の前まで行った
あ……これ—
棺にはあの日、二人で買った
ハートのキーホルダーの片方が入れられてあった。
「まだ持ってたんだ…」
ダウは俺の方に手を置き一緒に喜んでくれた。
「大智、よくやったよ!」
「少しずつだけど変えれてんのかな?」
「きっと…」
その時LINEがなった
佳奈から「耐えられないから外にいるね」と
LINEが来ていた。
まぁそうだろうな、親友の通夜、耐えられたもんじゃ……
その時俺にも衝撃が走った。
トーク一覧には佳奈の下に優依の名前があった
「結婚式絶対来てよね、友人代表のスピーチあんたなんだから」
そんな短文だけど
やり直す前は縁を切っていてLINEすら持ってなかったんだ
大きく変わった
変わるんだ未来は、きっと信じれば変わるんだ。
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