第2話「もう一度…はじめまして」
にわかにも信じ難いが、俺の人生をセーブしているという
ダウの話を俺は俺は聞く事にした。
「いい?セーブポイントっていうのはその行動で大きく未来が変わってしまう場面でセーブは自動的に行われる。逆にそれ以外ではセーブは行われない、だから私もどこに大智がどこに飛ばされるかは分からない」
ダウが真剣な眼差しで説明を始めた
「例えば、宝くじが売り場に2枚残ってる、1枚は1等6億円、もう1枚はハズレ、もしここで大智がどっちを取ろうとも大智の人生は大きく変わる。6億円を貰ってたらお金持ちになるだろうし、ハズレたからって貧乏になるとは限らない。ただ50%の確率で人生は大きく変わったかも…こんな時にセーブは自動的に行われる。だけどどっちを選んだからって幸せになれるとは限らないけどね。6億円手にしたとしても」
「なるほど」
「だから、やり直したからって確実に上手くいくとは限らない。あと、一度やり直した過去はもう二度と変えれない。次、やり直す時がその場面はラストチャンスってこと、やり直しが始まった瞬間過去のセーブデータは破棄される。だから何も動かなかったとしても今までの同じような未来になるとは限らない、もっと最悪な未来になるのも覚悟してね…」
「わかった」
「よし、そろそろ始めよっか」
「うん…」
「優依ちゃん救ってきな」
ダウはそう言うと指をパチンと鳴らした。
一瞬で、目の前が雲に覆われたような感触だった。
「大智!おはよう!」
目を覚ますと、目の前に小学6年生の和哉がいた
「え!?小学校!?」
「何言ってんだよお前(笑)」
「あ、ごめん…」
6年生の俺、一体どんな大事な場面が起きたんだろう
「入るぞー、はい、みんなおはよ!」
「お!しばっちょおはよ!」
担任のしばっちょだ。久々会った。
「うわぁ、元気だった?しばっちょ」
「なんだ大智、いきなりお前おかしいぞ?」
「そうだぞ、大智!しばっちょこいつ今日ずっと変なこと言うんだよ!」
「転校生来るから浮かれてんだろ」
そうか!これだ…!優依が今日転校してくる
「今日か!優依が転校してくるの!」
やべ。思わず声に出てた。
「お前…なんで優依って名前…」
「え!?なんて!?ゆ…唯一!そう!うちのクラス唯一の転校生だよな!」
「あ、あ…うん…」
やばい、確実にしばっちょ怪しんでる
「じゃあ、みんな紹介するな!転校生の伊藤優依ちゃんです!」
教室は拍手で包まれた。
「昨日言っていたように、優依ちゃんは茨城から転校してきてます。まだこっちには初めて来たみたいだから分からないことたくさんあると思うけど色々教えてあげるように!じゃ優依ちゃん自己紹介!」
「はじめまして!伊藤優依です!みんな仲良くしてください!」
「席は、大智の横が空いてるからあそこで」
「はい!」
優依は笑顔で俺の隣に座った
久々見た優依の笑顔…
「よろしくね!」
「お前さ…ちゃんと…ちゃんと前見て歩けよ!危ねぇだろ!死んじゃうだろ!」
「え…いきなりどうしたの?」
「あ、ごめん…」
優依に思わず言ってしまってた。
「ママによく言われちゃうんだよね、ちゃんと前向いて歩きなさい!って(笑)」
「そうなんだ、ごめんなんか変な夢でも見てた」
「大丈夫?」
「うん、平気、よろしくね」
どうやって仲良くなったんだっけ
どうやって友達になったんだっけ
あ、そうだ
「訛ってないんだね…」
「え?www」
「いやもっとさ、〜だっぺよとか〜ずらとか言うのかと思ってた(笑)」
優依は爆笑した
「大智くん面白いね!言わないよそんなの!あ、でもおばあちゃんはそういうの言うよ!」
「やっぱそうなんだ!」
「うん!あ!そうだ。ねぇ、消しゴム貸してくんない?私、転校初日で緊張しちゃって忘れちゃった」
消しゴムを半分折って優依に渡した。
転校1日目はそんな風な感じで終わった。
次の日学校に行くと、
「大智おはよう!」
「え、えっと、優依ちゃん…おはよう!」
「あ、ごめん!私、友達になりたい子には呼び捨てなんだ!」
「あ、そうなんだ!じゃ俺も優依って呼ぼうかな!」
「うん!」
思い出してきた、こんな感じだった
「大智、あの子といい感じなの?」
「優依?和哉、まだ話したことないっけ?」
「俺はまだ」
そんな他愛のない会話していると香織が俺らの元にやってきた。
「何話してんの?」
「香織、お前さ優依ちゃんと話したことある?」
「あー、微妙だけど話したことある」
「佳奈が仲良くなったって言ってたよ!」
香織は、佳奈を呼びに行った。
いつもこの5人のグループで遊んでいた
「ねぇ、佳奈、優依ちゃんと仲良くなったんでしょ!?」
「うん!めっちゃ優依面白いからね!」
「ふーん、そうなんだ、あ!今日も16時に第一公園でいいんでしょ!?」
懐かしっ、16時に第一公園
俺らの秘密基地だった。毎日遊んだ思い出が一瞬で甦ってきた
「うん、いいでしょ、みんな?」
「うん」
「あたしも!」
「わたしもいいよ!」
「柊弥は?」
「うん、いいよ」
「あ!優依誘いたい!」
いつものやりとりをみんなでしていると佳奈がそう言った。
そこへ優依がやってきた
「え、なに私も遊んでいいの!?」
「俺は別にいいけど、大智が決めて」
いやでも、さすがにいつものメンバーに優依は優依が嫌がるんじゃ……
あ、これだ!
この時の運命を変える選択!俺は優依に気をつかってしまったんだ!
1回目の人生ではこの日俺は優依が来るのを断った。
だからしばらくみんなの間に溝があったんだ優依との
「ねぇ、だめ?大智、私も遊んじゃ」
答えはもう決まってる—
未来を変えるんだ!
「優依、おらんと面白くないやろ」
その言葉を俺が言うと優依は大きく笑い
「私、転校してきてよかった!」と言った。
その瞬間大きな雷の音が鳴った—
目を覚ますとダウがいた。
「おかえり」
「ダウ、俺、変えてきた…!」
「そうだね!」
「優依は!?」
返事もないままにダウは消え、また時が動き始めた。
通夜はこれまで通り何も変わらず執り行われていた。
何も変えられなかった
優依は死んでるし、彼氏は泣いている
どうすることも出来なかったんだ
やっぱり未来を変えることなんて…
その瞬間、また白い世界に包まれ周りの時が止まった
「見てきた?自分で」
「見たよ何も変わってない」
「そうかな?私、変わってると思うよちゃんと見てきて優依のとこ」
ダウにそう言われ、俺は棺に入った優依をもう一度見に行った。
あ……写真…
棺にはあの日、みんなで撮った写真が入れてあった。
「わかった?大智、こんな風に少しずつだけど変えれるってこと!」
優依、決めたことがあるんだ
俺今度はもう逃げない……
「ダウ、俺、優依必ず助けるよ」
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