Ice lolly13⋈②
扉を開けると玄関から居間まで空になっていた。
え、空?
嘘、だよね?
「ありす!」
私は振り返ると驚く。
「え、
「病院から抜け出して来た。さっき
え……。
「
「あぁ」
「なんで教えてくれなかったの!?」
「お前のこと、
「
「あいつ、お前と会う前に親父と東京で会って話つけたんだよ」
え、お父さんに会ってたの?
「話し終えた時にはみんな泣いてやがって、
「ありすにだけは絶対に言うなってな」
「何…それ…秘密ばっかり…」
私も暮らしたい。退院したら一緒に…って言った時、
“
ほんとうは東京に行くことが決まったから、あえてそう言ったんだ…。
「…ひどいよ」
“…ありす、俺はお前をぜってぇ幸せにする”
って、言ったのに。
ねぇ、
私の両目から光が消える。
「ありす?」
だったら、
「
「もう、好きにして」
――――俺達は偽りじゃねぇ、本物だ。
――――これからもずっと“本物の兄と妹”だ。
教会で誓ってくれた
ほんと、ひどい妹。
だけどもう、どうしていいか分からないの。
カラーン。
「ありす、泣きたいだけ泣け。何時間でも付き合う」
右手と左足包帯巻いてて、
立ってるだけでも辛くて、私よりも痛いはずなのに。
「うわぁぁぁあああああああああああああ……」
私は
*
7月28日の深夜。私はベランダの扉の前で両足を伸ばした状態で座っていた。
扉は水色にゴールドの星柄がついたカーテンで隠れていて見えない。
両目にも光はもうない。
2日前、腕の中で泣き崩れた後、
ほんとはずっと一緒にいて欲しかったけど、
こんな私じゃ、とても松葉杖の
一人になってからはろくに何も食べず、部屋でただボーっとしてるだけ。
ポロッ…。
あ、また涙が……。
なんで、時間、進むの?
なんで、時間、戻ってくれないの?
そんなの耐えられないよ。
“…あー、このまま眠りてぇ”
“…毎日一緒に寝て起きて、普通に暮らしてぇな”
このまま夢で終わらせたくない。
「…私、
抑えようもなく、あとからあとから涙が零れ落ちていく。
「
スマホの着信音が鳴った。
…え?
私は涙を右腕で拭き、
床に置いてあるスマホの応答のボタンをタップし、右耳にスマホを当てる。
『ありす』
どうしよう、
『ちゃんと飯食ってるか?』
「うん」
『嘘つくんじゃねぇよ。部屋で別れてからどうせろくに食べてねぇんだろ?』
「っ…」
なんで、分かっちゃうの…。
「それより、どうしたの? …あ、着替えとか?」
『ちげぇわ』
『お前昨日言ったよな? もう、好きにしてって』
『だから俺の好きにした』
…え?
「好きにした…って?」
『隣の部屋に今すぐ行け』
ブチッ。
え、電話切られちゃった…。
なんで隣の部屋?
「あ…」
もしかして――――。
私は立ち上がり、部屋から出て玄関まで走る。
そして靴を履き、玄関の扉を開け、外に出た。
きちんと扉を閉め、隣の部屋まで走っていく。
え、扉、少し開いて…。
私はドアノブを引き、扉を開けた。
「
これは…夢かな?
だって
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