Ice lolly7⋈① ねぇ、嘘だって言ってよ。
どうして……?
こんなの、知りたくなかった。
ねぇ、嘘だって言ってよ。
*
「…どうしよう」
私はマンションの部屋の前で迷っていた。
あれから
私は黒のふわロングのウィッグに右手で触れる。
ずれてないよね…?
ガチャッ。
扉が開く。
制服(薄いブルーの半袖シャツ)を着た
あ、
私はバッと避ける。
怖くて避けちゃった……。
私は気まずいまま中に入る。
ぱたんっ…。
扉が閉まった。
「あ、
「ありす、無事で良かった」
え、
「
「心配かけて、避けてごめんなさい」
「ふ、不審者の男の子達が
え、優しく抱き締められ…。
あ…いつものほんのりスパイシーなシトラスの香り…。
安心する……。
「ありす、俺がまだ怖いか?」
「ううん、もう大丈夫」
「そうかよ」
「…お前が怖がったり、保健室に行くってことはよっぽどだろ」
「電話の後、何があった?」
「…
「カーテンに隠れたけど見つかっちゃって……」
「ありす、ゆっくりでいい」
「うん…それから…」
「腕を引っ張られて窓ガラスに押し付けられて」
「リボンで両手を背中で縛ばれて……」
私はぎゅっとセーラー服の胸の部分を掴む。
「クソがぁっ!」
「やっぱ電話の後、すぐお前の高校に行くべきだった」
「いや、お前が俺と同じ高校行くって言った時、来いって言ってればこんなことにはならなかった」
「同じ高校だったらすぐ飛んで行けて守れたのに」
「ありす、すまねぇ」
「謝らないで…
そう、悪いのは、
私の両目から光が消える。
こうやって抱き締められてる私だから。
「
「今夜はもう離さねぇよ」
*
「…話って何?」
7月11日の朝。屋上で右肩に鞄をかけた
私は右肩にかかった鞄の紐をぎゅっと持ち、軽く頭を下げる。
「一刻も早く謝りたくて…」
「
「…昨日帰るの遅かったし気にしてねぇよ」
「…それよりあいつとはちゃんと話せたのか?」
「うん、不審者の
「そしたら…」
「…そしたら?」
「離してくれなくて…」
「寝る時も私がちゃんと眠るまで
「…あぁ、どおりで」
サラッ……。
「…あいつの香りがすると思った」
体の力が抜け、私はその場にぺたんと崩れ落ちた。
「…おい、
「うん、大丈夫…」
私は手を伸ばす。
あ、指が触れて……。
バッ!
私はすぐに手を引っ込める。
「…は?」
「あ、だ、大丈夫」
「自分で立てるので…」
私はそう言って自分で立ち上がった。
き、気まずい…。
それに……。
“
キーンコーンカーンコーン♪
「…あ、教室戻るね」
私はそう言うと屋上の扉を開け、階段を駆け下りて行った。
*
「ふぅ……」
時間が過ぎ、昼休み。中庭のベンチに一人座り、ため息をついていた。
両膝には、ふわっふわのハンバーグにパスタとおにぎりが入ったお弁当箱が乗っかっている。
あれから気まずくて
今の状態でまた会っても、意識し過ぎちゃってだめだろうな。
はぁ、どうしよう……。
「あなたが
ツインテールの女の子が話しかけてきた。
あ、前に
「私、
「昨日、
私はドキッとする。
え、見られて……。
「それにさ、私の告白も盗み聞きしてたよね?」
「っ…」
「
「天体に興味あるって思ってたけど、よくよく考えたらさ」
「あなたのことだったんだね」
「
バシャァッ!
お弁当箱の中身が地面に飛び散った。
あっ!
私は慌ててハンバーグとパスタを拾う。
その様子を見ながら
「うわ~手べっちょべちょ! ぶっざま~!」
「…ぶざまなのは、どっち?」
黒のショートのウィッグを被った
「
「…あ? てめぇ誰に向かって物言ってんだ?」
「も、ももも、もういいわよ」
「…あー、眠いのに、あーゆーのほんと勘弁して欲しい」
「…ありす、大丈夫?」
「うん、助けてくれてありがとう」
私達は中身を全部拾ってお弁当箱の中に入れるとベンチに座る。
「…パン、半分こしよっか。はい」
「ありがとう」
半分こ嬉しいな。
「…ありすってさ、
「え、なんで……」
「…
私、最低だな……。
「…昨日の夜、保健室で目覚めてから
「それから
「…え、え、何それ尊すぎない? 超可愛い!」
「…昨日、そんなに激しかったんだ?」
私の顔がボッと熱くなる。
こんなこと聞いていいのか分からないけど、勇気出そう。
「あ、あの、
「…ん? 最後までだよ」
私は両目を見開く。
「え?」
「…え?」
「最後?」
私は聞き返す。
「…うん、最後」
“最後まで”ってなんだろう……。
「…とにかくさ、恥ずかしいとは思うけど正直に話してみたら?」
「…
「うん、
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます