「上手くいかねぇな……」「もうダメかもな……」そう思いがらも、自分なりの作品を書いている皆さまにとっては、共感できるところも多いエッセイです。
カクヨムで上手くいっている人たちからすれば、「そんなところに共感しているからダメなんだよ」とか「ただの傷の舐めないだろ」とか思うようなことかもしれませんが、歯を食いしばってでも書き続けている者たちにとっては必要な場所だと思います。
商業デビューを目指す者。
承認欲求を満たしたい者。
そういった作家たちにとっては、決して「安らいではいけない」場所だと思います。
しかし、こういった「安らぎ」が間違いなく必要な人、必要な時も、あるのです。
読まれない、というのは作家にとって、かなりの苦痛になる事実でしょう。
軟弱者の作家ならばここで筆を折ることでしょう(そして実際そういう「作家になれなかった人たち」はごちゃまんといます)。
ですがその一方で、少しでも読まれよう、評価されようとしていろいろな試みを試してみるという、成長志向の作家もいるわけです。
つまるところ、本作の筆者です。
読まれないという現実を受け入れ、その現実を打ち負かすために、不器用ながらも試行錯誤するその努力は実に美しく、賢明で、心打たれるものがあります(少々愚痴っぽいのに目を瞑れば、ですが)。
この「実験的要素を試みる」というアプローチスタンスが、なんともフロンティアスピリッツを感じるというか、我流が故の武骨な良さを感じさせます。
努力することを怠り、楽して実を得ようとサボることを覚えたら、作家としての才能は潰えます。
いつまでも自己研鑽のための情熱を燃やし続けていただきたいものです。
……ただ、我流なやり方にこだわる傾向から見て取れるように、少し自分の殻に籠り気味な気質があるので、少しだけでも外に目を向けてみても良いかな、とは思います。
効率よい成長のためには、まずは情報を収集し、それを己の糧に昇華することも重要ですからね。
読まれている作家も、読まれずに燻っている作家も、今一度初心に帰るつもりで本作を読んでみてはいかがでしょうか。
その奮起する姿に、心の琴線に触れるものを感じ取っていただければ幸いです。