第18話

 俺達は走って次の部屋に行くと、誰もいなかった。

「は?誰もいない?」

「いいじゃない!先に進みましょう!」

 と先に進むと誰かがチャルチウと戦っていた。

「オラ!お前ら先に進め!」

 と誰か知らないがそう言う。

「そうはいきません、『4の水』」

 部屋全体が水に浸かり息ができない。

「オラァァ」

 チヨが水を斬りさき水が割れるとチャルチウは唖然とする。


「私に斬れないものはない!貴方が静岡シェルターを!」

 と剣を構えるチヨ。

「お前が親父の娘だろ?」

「お父さん?どうして?」

 パンクな格好をしたツンツン頭の男が言う。

「俺の親父でもあるんだ!『4の雨』!」

 火の玉が無数に出て来て水を蒸発させる。


「よっしゃ!おいお前、最後のトナティウは譲ってやる、ここは任せろ!」

 と言われると、

「チヨ!」

「先に行って!」

 とチヨにも言われる。

「分かった」

 と先の部屋に走る。


「それじゃあ、姉弟でやっつけましょう!」

 と言うとトラロックはニヤリと笑う。

「あぁ!それが親父の喜ぶことだからな!」

 それを聞いていたチャルチウは声を荒げ、

「トラロックゥ!私は怒りますよ!」


「うっせぇ!親父達をあんな体にしやがって」

 トラロックは炎の球を出すとチャルチウに向かって投げる。

「うおぉぉぉおぉぉぉ!」

 炎がチャルチウを巻き込むと渦になって燃え上がる。

 が、それもすぐに消え水の膜に変わると衣服の燃えたチャルチウが怒りの顔にかわっている。

「私の最大限で貫いてあげますよ!『4の水、ヴォルテックスランス』!」

 トラロックがチヨの前に立つと、

「『4の雨、ヒートウォール』やれ!姉貴」

 と炎が渦を巻いて迫る水の槍を止める。

「うおぉぉぉおぉぉぉ!」

 とチヨがトラロックを飛び越えて、

「『エクスカリバー』」

 と手刀でチャルチウを切り裂く。

「な、ばかな」

 二つに別れた身体は“ドシャ”と水に浸かり息を引き取るチャルチウ。

「やったな姉貴……」

「トラロック!」

 トラロックは身体に大穴が空き、言葉を発することもままならない。

「俺の姉貴は世界い…ち……」

「トラロック!」

 チヨはトラロックの手を握り、最後を見届けると、最後の部屋に向かったレンを追いかける。


 最後の部屋に到着した俺は、

「お前で最後か、馬鹿なことは辞めるんだ!」

「馬鹿なこと?この世界はもう滅亡しているじゃないか?」

 そうかもしれないがそれを決めるのは生きてる人間だ。


「そんなことはない!今みんなが戦い、昔と同じ光景を夢見て頑張ってるんだ」

「そんなものはいらない、昔と同じ光景は俺が手に入れる」

 と言って壁を叩くと地震が起き壁に亀裂が入る。

「クッ、行くぞ!」

「来い、人間が夢見る時代は終焉を迎える」

“ドドンッ”と足を踏み鳴らし、

「『4の動き』」

 地面が割れ、亀裂に足を取られる。

「あははは、それでどうやってここまでくるんだ?」

「こうやるのさ」

 俺は足を斬り『再構築』して走り出す。


「へぇ、いつまで持つかな?」

 地震は立ってられないほど揺れ、足が地面から浮いてしまいその場から動けない。

「ぐっ」

「どうした?自慢のスキルとやらも使えないなぁ」

 手を地面につき、動けなくなってしまったが、拳で床を割り、前に飛ぶように進む。

「あははは、滑稽だな!」

「笑いたければ笑えばいい」

 地震に抗い前に進み続ける。


「さぁ、これが最後だ!『4の動き、震度8』」

“ドーン”と縦揺れが起きて俺の身体が宙に舞うが、それと同時に『再構築』して腕を伸ばしトナティウを捕まえる。


「掴まえた!」

 俺は笑い、

「それがどうしグギャァァァァ」

 腕を持つ手が引き離そうとするが絶対に離すことはない。

「『解体』を生きてるものにかけたことはなかったからな!!お前はここで終わりだ!」

“ドン” “ドドンッ”と地震が起きて大地が割れる。

「まだかよ!『解体』」

「うぐぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」


 皮膚から肉が剥がれ骨になって行くトナティウ。


「これで終わりだ!」


 解体されたトナティウはただの肉塊へと変わっていった。



 世界中で地震は起き、津波が街を飲み込む。

 だがどこも高いシェルターの壁に阻まれ、飲み込まれて行くのは人型の化物ばかりだ。


 チヨが走って駆け寄ってくる。

 『再構築』で手を元に戻すとチヨを抱き止める。


「わ、私の方が酷い怪我なんだけどね」

 とムラサキがやって来たので『再構築』で怪我を治す。

「なんとかなったわね」

「だな、これで世界は変わるだろう」


「そんなわけないでしょ!」

 と扉から出て来たのはテスカだ。

「3人は!」

「ほら、もう虫の息よ」

 俺は瞬間的に駆け寄り3人を『再構築』する。

“ガキンッ”

「やらせるわけないでしょ!」

「この死に損ないが!」

 とチヨがテスカの手から出たジャガーの顎を止めると、

「よくも3人を!」

 とムラサキがテスカを射抜く。

「グッ!『4のジャガー、ジャガー召喚』」

 飛び出してくるジャガーと戦うチヨとムラサキ。

「……こ、ここは?」

「悪いがあの世ではないぞ?」

「く、くそ!テスカ!」

「今度こそ」

「私達負けたんですね」

「いや、俺たちの勝ちだ」

 あとはテスカを倒すだけなんだからな。


「グガァァアアァァァ」

 ミカドやコハル、ミズハも立ち上がりジャガーに向かって行く。

「お前はもう1人なんだよ!降参しろ」

「私は第一の神!テスカトリポカ!お前たちなんかに負けるはずない!」

「人間なんだ!お前も俺たちもな!」

「ふざげるなぁあ!!」

 と自身もジャガーに変わると俺たちに向かってくるが、チヨに斬られ、ムラサキに射抜かれ、

「グアァァァァ」

 それでも俺のところに来ようとする。

 ミカド、ミズハの魔法で弱っていく。


 最後はコハルの槍で貫かれる。


「あ……あと、すこ……し」

 テスカは俺の目の前でその命を終わらせた。

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