第17話

 中に入るとやはり最初はテスカが待っていた。

「あら、ここは神の『楽園』何故また来たの?」

「静岡シェルターを何故あんなことに?」

「あぁ、近場からここに来たのは分かってたから潰しておいたのよ。私じゃないけどね」

 となんとも無いように言うテスカ。


「あんたねぇ!」

「だから私じゃ無いって言ってるでしょ?」

 とチヨに向かってテスカが言う。

「ふざけるな!」

 向かって行くチヨはテスカの顔面を蹴る。

「神を足蹴にするなんて、侮辱してるわね」

 と手で受け止めている。

「クッ!」

 こちらに戻るチヨは強さを測ったようで、

「あれは手に負えないわよ?全員で行く?」


「ここは僕が!」

「何言ってるの?私が食い止める!先に行って」

 とミカドとコハルがテスカの前に立つ。

「分かった」

 と走り出すと大型の獣が、先を塞ぐ。

「誰が行っていいって言ったの?」

 テスカは怒っているように見える。

「『アイスコフィン!』」

「ミズハ?」

「先に行って、こいつは3人で倒すから」

 と俺たちを押すと扉が閉まる。

「あーぁ、遊び相手が少なくなっちゃった」

 テスカは獣を胸から取り出すと、

「やっちゃえ『4のジャガー、ジャガー召喚』!」

 4匹の巨大なジャガーが襲いかかる。


「『テンペスト』」

「うおぉぉぉおぉぉぉ!」

「『アイスコフィン』」

 と3人とも最初から全開だが、ジャガーはもう1匹いる。

「グアァァァァ!!」

「ミカド!この野郎!」

 とコハルが槍で斬りつけるが、避けるジャガー。

 噛まれたところから血を流しているミカドにポーションを飲ませると、

「く、くそ!こんなところで貴重な」

「こんな時だからよ!」

「そう、時間はかけられない」

 とコハルとミズハに言われる。


「あぁ、1匹になっちゃった。でも、問題ないわ」

 とまたジャガーを出してくる。


「また4匹かよ!」

「チッ!私が行く!2人とも援護して!」

「「分かった」」

「『テンペスト』まだだ!『エアシュート』」

「『アイスコフィン』『ウォーターランス』」

 と2人で4匹のジャガーを食い止めると、

「でりゃぁぁぁぁぁ!!」

 槍がテスカに突き刺さるかと思いきやテスカ自体がジャガーになり、槍を噛み砕く。


「ガルルルル」

「クソ化物が!」

 と2本目の槍を取り出すと、

「『アイスランス』」

 とミズハが槍の先に氷魔法で巨大な刃を創る。


「オラァァ!」

『ギャンッ』

 とジャガーに傷をつけるコハル。

 テスカが変身したジャガーは一回り大きく、コハルの槍は浅く傷をつけたくらいだ。

『シャアァァ』

 と鋭い爪がコハルに襲いかかるが、

「『テンペスト』」

「『アイスランス』」

 とミカドとミズハがフォローに入る。


「いくわよ!ミカド!ミズハ!」

「「おう」」

 と言って3対1の戦いが始まる。


俺たちが二つ目の部屋に入ると、今度はケツァルが待っていた。

「先に行って!」

「でも、」

「私が食い止める」

 とムラサキはケツァルに挑む。

「そんな武器で私が倒せるのですか?」

「やってみなくちゃわからないでしょ?」

 弓を構えるムラサキを置いて先に俺とチヨが走って行く。


「さぁ、別にあの2人がこの場所をどう思ってようがここは『楽園』だと言う事を忘れていますね」

「何が楽園だ!人を滅ぼして何が楽しい?」

「滅ぼすのではなくリセットです。人類はもう滅び行くことが決まっている」

「うるさい!このデカブツが!」

“ビュンッ”と矢が放たれるがケツァルには当たらない。

「私は風を操ります。あなたとの相性は最悪でしょうね」

「クッ!この!5連射!」

 すべてケツァルに当たる前に違う方向に向かって行く。


「では、私からも『4の風、テンペストストライク』」

「クッ!うがあぁぁぁぁ!」

 風がムラサキを包み切り刻んでいく。


「はぁ、はぁ、はぁ、クッ!」

「これで分かったでしょう?貴女と私は最悪の相性で、私が上だと」

 ケツァルは傷だらけのムラサキに向かいそう言葉を放つ。

「そんなものは知らない!私はここで貴方を討つ!」

 ムラサキは傷を抑えながら立つ。

「ここから出れば帰してあげますよ?結果はわかっているでしょう?」

「誰がかえるっつてるの?貴方は私が倒すんだから!」

「はぁ、では『4の風、テンペストストライク』」

「グアァァァァ」

 また巻き起こる風の刃に身を切られる。

 だが、矢を引いて立っているムラサキが見えると、

「これが一矢報いるってやつよ!!」

「『真空矢ホロウ・アロー』」


 真っ直ぐに飛んでいく矢は『4の風』が効かないのかケツァルに突き進む。

「バカな!私の方が有利なはずなのに!」

「いっけぇ!!」

「うぐぉぉぉ!!」

 勢いよく胸を貫通した矢は衝撃で砕けるが、心臓を貫かれたケツァルは倒れて動かない。

「はぁはぁ、わ、私の勝ちね」

 傷だらけの勝利を勝ち取ると倒れるムラサキ。

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