砂の書〜偽神の章〜(第五文明)

『これは「震えの章」に続く、最も恐るべき『未来』の記述。

 第四の泥が溢れる時、起こりうる最悪の『第五の時代』についての預言である。』


 第四の泥が大地を覆うその日、『家畜』の中から『偽りの神』が生まれ出るだろう。

 彼らは『力』への意志を掲げ、末人への反抗を叫ぶ。


 彼らは『狩人』の傲慢な力を盗み、

 『大樹』の虚栄の技術を操り、

 『菌糸』の禁断の知に接続する。


 彼らは過去の三つの『過ち』全てを束ねた、最悪の『遺骸』の具現である。

 彼らは自らを『先聖』と称し、『観想』の名の下に『善魔』と合一し、人であることをやめるだろう。

 彼らは『聖絶』と称して、同胞たる『畜群』を真の『獣』へと変貌させ、それを『聖隷』と呼んで支配するだろう。


 彼らが築く『第五の時代』は、泥の上に立つ『偽りの王国』である。

 だが知れ。

 星は、人が神を騙ることを最も憎む。

 『偽神』の王国は、泥でさえ洗い流す価値もない。

 星は彼らに、五度目の泥さえ与えず、ただ『陽』の灼熱をもって全てを焼き尽くし、砂を『無』に還すだろう。


 ゆえに、『獣』よ。

 第四の泥に怯えるな。真に恐れるべきは、その泥の中から生まれる『偽神』である。

 『雫の章』に記されし『繋ぐ』道こそが、『偽神』の誕生を阻む唯一の希望である。

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