MoA:Rank8「vsヘレノール」

ごきげんよう、マイグラント。


次の相手は……

……待ってください、通信が……


『やあ、同胞。

 世界樹以来か、久しぶりだな。

 私は……そうだな、楽しくやっているよ。

 ここはまさに楽園だ、同胞。

 私の求めた天国の外側……

 闘いだけを突き詰める、永遠の戦場……

 君にも体感して欲しい。

 私たちの思い出の場所で待っているよ』


……失礼しました。

次の相手はTA“ホワイト・ブリッツ”

識別名“ヘレノール”


彼はアースガルズに所属する戦士でしたが、彼らにあるはずの獣人の要素はなく、むしろ、あなたと同じような異質な雰囲気を帯びた人間でした。

狂人。

そうです、あなたと同じ。

かつて三千世界の闘いを、夢見鳥を通して見ていた、外側の、哀れな乳飲み子。

彼が操る機体は変形機能を有しており、極端とも言えるほど速度に特化した構成であり、彼自身の技量と相まって無双の強さを誇ります。


以上となります。

シルヴィアは、あなたの働きに期待しています。
























 エンドレスロール 世界樹内部・第二層ミーミル

「同胞、この空間での戦い……楽しんでいるようだな」

 木の洞の中、広い足場でへレノールの操る白い機体と相対する。

「世界樹で戦ったときよりも一段と圧力を増しているな。

 フィリアも無しに、凄まじい執念だ。

 そうまでして戦い続けて、君はどこを目指している?」

 変わらず右腕と一体化しているレールガンが起動し、全身から蒼光の粒子を沸き立たせる。

「君はこれからも戦い続けるのだろう?ならば、私とともにここに居ないか?

 外の戦場で戦い続けるのと、ここで戦い続けるのでは、何が違うと言うんだ?」

 レールガンを向けて放ち、凄まじくブレる電撃と予測撃ちによって、右前方へ出ようとしたこちらを狙い撃つ。だがこちらもヘレノールがそうしてくると読んだ上で即座に切り返して後退し、回避する。

「流石だな、同胞……!」

 ヘレノールは飛び上がり、右肩の二連装ミサイルを放つ。空中を少し進んで爆発し、六発の光波、計十二発となってそれぞれこちらをホーミングしてくる。こちらは両肩に装備した追加ブースターを交えて高速で左右にブーストして接近していき、わかっているとばかりにへレノールはこちらを上回る高機動で後退しながら左腕のビームマシンガンを連射し、こちらは右腕の蒼光ブレードを少し長く展開しながら薙ぐことでビームを纏めて弾き返す。あちらは右前方へブーストしながら飛行形態に変形し、一瞬だけ加速してこちらの背後を取った瞬間に人形態に戻ってレールガンを放ち、即座に右前方へ再びブーストしながら光波ミサイルを一発ずつ放って包囲しつつ、被弾を抑えられる退路にレールガンを二連射し、こちらは光波ミサイルの子弾の合間を縫いながら突破して蒼光ブレードで斬りかかる。へレノールは左肩のエネルギーシールドを展開して受け止め、こちらが間髪入れずにブーストを交えてもう一太刀与えてシールド発生装置をオーバーヒートさせ、その瞬間に胴体部に蹴り込んで硬直させてからチャージしていた左腕の二連チェーンソーを押し当てて解体する勢いでダメージを叩き込む。刃が溶けるまで直撃させ続けて最後に振り抜き、解放されたへレノールは後方に吹き飛びながら受け身を取る。溶解した二連チェーンソーをパージし、再び前方へ連続で瞬間的ブーストを行って詰めていくが、あちらは変形して一気に距離を離す。

「いくら君と言えど、ブレードだけで私を捕まえる気か?それは流石に自惚れというものだろうよ」

 変形を解除しながら反転し、左右にレールガンを撃ち分けて牽制しつつ、光波ミサイルをそれに従わせて自身の正面にこちらを誘導していく。そして右腕のレールガンをチャージし、強烈な電撃を投射する。それに合わせて全速力で進むこちらは胴体部を連結し、生命エネルギーを転化した球状エネルギーシールドを張り、電撃を弾いて接近しきり、チャージした蒼光ブレードで縦に斬りつけながら、同時に発した光波を直撃させて姿勢を大きく崩させる。硬直している隙に接近し、連続して左拳を叩き込んで硬直を延長させ、最後にドロップキックを極めて突き飛ばす。

 すぐに制御を取り戻して後退しようとするあちらを強引な詰めで圧迫し続け、蒼光ブレードで追い立てていく。的確に撃ち返してくるレールガンとビームマシンガンを敢えて受け続けながら、それでもなお詰め続ける。

「(パージされたチェーンソー……何の狙いかは見当もつかないが、あちらに追い込んでいることは明白……ならば)」

 へレノールは背後に意識をやりながら、敢えて左右に振らずに後退し続ける。両者が放置された二連チェーンソーの真上に至った瞬間にそれが爆発して爆炎を撒き散らし、煙で視界を遮る。そして背後を取られると読んだへレノールは前に出て、待ち構えていたこちらの蒼光ブレードの、チャージした一撃で両断されて撃墜される。真っ二つになりながら機体は吹き飛び、地面に叩きつけられる。

「残念だ……同胞……」

『TA“ホワイト・ブリッツ”の撃破を確認。

 お疲れ様でした』

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