Rank30〜

MoA:Rank30「vsウーマナイザー」

ごきげんよう、マイグラント。

今回から、あなたには戦闘技能検証プログラム“MoA”に本格的に参加していただきます。


最初の相手はTA“ウーマナイザー”。

識別名“スイートサレンダー”。


彼は建設作業用の重工業製品を武装に転用した、最初期のTAを使用する、ムスペル重工業所属の傭兵です。

外見や名前こそふざけてはいますが、確かな実力を持つ硬派な人物です。

あなたにとってはどうということもないかもしれませんが、油断はしないように。


シルヴィアは、あなたの働きに期待しています。
























 エンドレスロール 無縁雪原

「あんたが俺の対戦相手か」

 視界が明転すると、どこかの惑星の雪原に出る。雪は降っておらず、曇天が朧な日光を射し込ませていた。眼前には黄色と黒の、あからさまな警告色の重装TAがおり、右腕に巨大なジャックハンマー、左腕に二連チェーンソーを装備している、典型的な近接特化構成だ。

「まさかTAじゃなくパワードスーツの歩兵と戦うことになるたぁ思わなかったが、悪く思うなよ!」

 ウーマナイザーはブースターを吹かしてホバー移動を始め、左腕のチェーンソーを起動してチャージしつつ、右肩の四段三連装ミサイルを発射する。こちらも右にブーストして出ながら右手のアサルトライフルを連射し、だが弾丸が盾のようになったチェーンソーに弾き返される。ミサイルを瞬間的ブーストで回避すると、着弾したそれはナパームのような性質であったようで燃え盛り、そして地面に降り積もっていた雪に何故か引火し、一気に大炎上を引き起こす。

「っ……!?」

 そうなった瞬間にウーマナイザー本人が一番驚き、硬直したところへこちらから右肩の二連グレネードキャノンを敢えてチェーンソーに直撃させてオーバーヒートさせ、ブースターを一気に吹かして急接近し、勢いを乗せたアサルトライフルを数発叩き込んでから勢い良く右脚で頭部を蹴り抜いてメインカメラを歪ませ、胴体部を連結させてから生命エネルギーを衝撃波に変えて至近距離で叩き込み、機体の姿勢を完全に崩す。その一瞬にフルチャージした強化パイルバンカーを胴体に捩じ込み、突き刺さった撃針が連鎖爆発を起こす。だが持ち前の頑丈さで堪えたウーマナイザーが右腕のジャックハンマーを激しく振動させて振り被りながら突き出し、変則的なパイルバンカーのようにしてこちらを叩き、強化パイルバンカーを盾にしつつも押し込まれて姿勢を崩し、即座にチェーンソーを捩じ込んでくる。寸前で後方への瞬間的ブーストで回避し、グレネードキャノンをチェーンソーを掻い潜りながら胴体部へ叩き込み、更に二連四連装ミサイルを左肩から斉射し、更に後退して着地し、滑りながらアサルトライフルを撃ちながら、肩部武装のリロード時間を稼ぐ。

「クソッ、こんなに燃えるなんて聞いてねえぞ……!あんまり温度が上がるとOSが持たねえ……!」

 ウーマナイザーは再びホバー移動を開始しつつ、左肩の大型単発グレネードキャノンを展開し、発射する。強烈な爆発を引き起こすが、弾速の遅さと発射態勢のわかりやすさ故に容易に躱され、その間にも届くアサルトライフルの弾丸をチャージするチェーンソーで弾きつつ、その上から重ねられるミサイルと二連グレネードキャノンで削られる。負けじと右肩のナパームミサイルをばらまきながら、着弾の度に過剰に地面が激しく燃える。こちらは二発目の単発グレネードキャノン発射に合わせて回避しつつ、着地して地面を大きく抉るように蹴りつけて雪塊をあちらに飛ばし、アサルトライフルで撃ち抜いて着火、機体の左腕部を炎上させて制御系の処理を増大し、チェーンソーが即座にオーバーヒートする。

「まずいっ……!」

 ウーマナイザーはチェーンソーと右肩のミサイルをパージし、出来るだけ軽量化してから、恐らく機体設計からして向いていないのだろう上昇を行って火炎から逃げようと画策する。明らかに鈍重になったそこへ二連グレネードキャノンを直撃させて姿勢を崩し、全速力のブーストからフルチャージした強化パイルバンカーをコックピットに叩き込み、今度こそ撃針が装甲を貫いて破壊し、連鎖爆発で止めを刺す。

 大破しながら機体が火の海へ落ち、機能停止する。

『TA“ウーマナイザー”の撃破を確認。

 お疲れ様でした』

 シルヴィアの声が響くとともに、視界が白けていく。

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