【第六章】平穏の崩壊
建国から三ヶ月――。
だが、ユグ=ザファールだけは、違っていた。
玉座の間に設置された《アビス・アイ》が、世界の外にある何かの「うねり」を感知していた。
空間が、震えていた。時間が、ひずんでいた。
「……嫌な予感がする。なにか“外”から、来るぞ」
その警告から間もなく――異常は起こった。
第一の被害は、フェアリー領の南西――《霧の森アル=ウィーヴ》にて確認された。
空間が、音もなく裂けた。
大気が悲鳴を上げ、重力が逆転し、森の樹々が根こそぎ引きちぎられる中、“何か”が這い出てきた。
それは、この世界の理から逸脱していた。
形を持たず、声を発さず、ただ“存在”すること自体が災厄であるかのような、黒く、赤く、無限にねじれた存在。
――それが、「混沌なる外界種(エクス=フォルド)」だった。
アル=ウィーヴへ調査に赴いたフェアリー精鋭の20名は、帰ってこなかった。
探索用に送り込まれた魔導眼は、奇妙な“音”を捉えていた。
それは、存在しない言語。何十もの声が、同時に、逆再生されるように、延々と空間に反響していた。
その声を聞いた者の精神は、砕ける。
「これは、世界の外側……“因果律”の外にある存在だ……」
ユグ=ザファールは直感した。
これは、もはや“魔”ですらない。世界の法則そのものを蝕む、「破壊ではなく“無”をもたらす敵」だと。
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次回は異因果との戦い。
第一幕も終盤に突入!!
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